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昼想夜夢~君、想ふ~
第14章 昼想夜夢
――――ガシャンッ!!
デスクから落下する書類やファイル。
ペン立ても落下させてしまい、あちこちにボールペンが散乱する。
「おいっ!小川っ!?」
「小川!どこ行くんだよっ!!」
周りからは俺を引き止めるような声が聞こえた。
俺はデスクから勢いよく立ち上がり部署を飛び出していたのだ。
俺の慌てっぷりに何かあったのかと同僚達は驚いてる様子。
しかし、俺は弁解もせぬまま部署を飛び出した。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
エレベーターの到着なんて待ってられない。
俺は駆け足で階段を下って行く。
彩花…
俺はお前に何も言っていない。
お前がいつか誰かのものになってしまうくらいなら、せめて最後に、自分の気持ちを伝えてもいいだろう?
俺は…、お前を不幸にしたかったわけじゃなかった。
今更こんな事を言ってもしょうがない。
ただの自己満足に過ぎないが、ただ最後に一言ぐらい謝らせて欲しい。
そして、最後に俺の気持ちを伝えさせて欲しい。
俺はどこまでも自分勝手だ。
あんな酷いことをしておいて、今更何を伝えようとしてるのか?
会社の外に飛び出て急いでタクシーのロータリーへと走って行った。
ラッキーな事に数台のタクシーが待機していたので、適当なタクシーを選び車内へと乗り込んだ。
「すいません、◯◯区までお願いします…」
「あ…、はい」
俺の慌てっぷりに運転手も驚いてるようだった。
いきなり現れた男。
手ぶらで、息を切らしての全力疾走。
何か余程重要な急用だと思われたのだろう。
「出来るだけ急いで下さい」
「は、はい!」
俺より若い運転手。
まるで映画のワンシーン宛らだな。
ハリウッド映画の主役にでもなった気分だよ。