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昼想夜夢~君、想ふ~
第14章 昼想夜夢
再会してから今まで、俺は散々彩花を傷つけ苦しめた。
再会してから俺は、彩花の笑顔を見ていない。
俺がずっと傷つけて来たからだ。

でもそれは、彩花が憎かったからじゃない。
この気持ちに名前を付けれずにずっと苦しかったがら今ならわかる。
自分の気持ちがハッキリとわかった。



俺は、あの雨の日に幼い彩花の手を取った。
あれからずっと、彩花を慰めたかったが、本当に慰められていたのは俺の方だった。
彩花のあの柔らかな笑顔に慰められ、癒されていたのは俺の方だった。



再会した時から既に俺は…

彩花の笑顔に囚われていた。



俺のものにならない苛立ち、焦燥感。
そんな我が儘な気持ちを彩花にぶつけてばかりいた大馬鹿者だ。










――――「彩花!彩花っ!」

タクシーに飛び乗り、彩花のマンションまで駆けつけたが
何度チャイムを鳴らしても応答がない。
ドアをノックしたり、ドアノブを回しても人のいる気配すらない。

まさか、もう仕事に行っちまったか?
つーか、ここでこんなに騒いでは近所迷惑だ。
不審者だと思われて警察を呼ばれ兼ねない。

「………っ。はぁ」


落ち着け、俺…。
彩花は仕事に行くって言ってたんだから家にいなくて当たり前だ。
冷静に考えればわかったことなのに、何をこんなに騒ぎ立ててるんだ。

冷静になる為に深呼吸をして頭の中を一旦整理。
家にいないということは考えられるのは職場だ。
彩花の職場に行ってみるか?

…いや、よく考えたら彩花の職場の住所すら知らねぇし。


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