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昼想夜夢~君、想ふ~
第15章 君、想ふ
ここで殴り殺されても文句はない。
北条の手で殺されるなら本望だと俺は覚悟を決めていた。

「はぁ、はぁ…」

俺を一発殴った北条は、憎悪に満ちた目で座り込む俺を見下ろしていた。
後輩の彼女に手を出した当然の結果だな。

このまま殴り殺されるだろうと覚悟を決めた瞬間



「彩花に…」
「…?」
「彩花にプロポーズを断れた時に、言われました」
「え…?」
「小川さんには、まだ言ってませんでしたけど…」



北条はそのまま静かに語り出した。
殴られるものだと思っていた俺は拍子抜けしてしまったが、北条の話に耳を傾けた。

それは、俺の想像とは違った答えだった。









"もう、まー君のそばにはいられない"
"私は、まー君のそばにいる資格がない"



"まー君は何も悪くない。酷いのは――――…"










北条に殴られた頬の痛みより、何かを堪えながら俺の胸元を掴んでいる北条の心。
それは、バカな俺にも伝わって来ていた。

「俺のそばにはいられないからって、彩花は田舎に帰るって言ってました」
「な…っ」
「あいつの事だから、田舎じゃなくて…、もっと別の場所かも知れませんけど…っ」

北条は知っていたのだ。
このマンションに彩花がいないことを。
俺の様子がおかしいと、会社を飛び出した俺を心配して後を尾けて来たのだ。

そして、彩花のマンションへやって来た。
彩花のマンションに入る俺を見て北条は何もかもを悟ったのだ。


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