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昼想夜夢~君、想ふ~
第3章 戸惑い
彩花の体は冷えきってるだろうし、温かなコーヒーはちょうどいいかも知れないが俺はさっきから体が熱い。

まぁ、でも…
一応身なりを整えといてよかった。
まさか、彩花が来るとは思ってなかったが。

「うわー…、このコーヒー凄く美味しい!!カフェみたい…」

コーヒーを一口飲んだ彩花が目を輝かせながら感動しているが、カフェみたいとは大袈裟だ。
こんなのスーパーで買った安い粉末のインスタントコーヒーなのに。

「た、ただの安物だ…」

何だよ、彩花は…
こんな粉末のコーヒーで喜ぶなんて。
この笑顔、昔と全然変わっていない。
温かなコーヒーより俺をホッとさせてくれる。

が、口を開けば小生意気な女になったなと思うが。

「で、彩花はずっとどうしてたんだ?」
「え?ずっとって?」
「15年前、いきなり姿を消しただろう?」
「あぁ、あの頃か」

ある日突然、彩花は姿を消した。
いつもの公園にもいなくなって、あれから俺の前に姿を見せることはなくなった。
俺はずっと、彩花が心配だった。

心配の余り、暫くは寝不足で講義にも身が入らなかった事もあった。

「実はね、あの頃私とお母さんの二人暮らしだったんだ。お父さんの事は詳しく聞かされてないけど、物心付いた時からお母さんと二人っ切りで…」

所謂未婚の母ってやつか?
父親の方は…、女性に妊娠を告げられた途端に逃げたとか?
それとも、不倫の末に彩花を身籠り認知もしてもらえずとか…?

「でね、お母さんの彼氏っていう男の人がしょっちゅう家に出入りするようになっちゃって、私はいつもあの公園で一人で遊ぶしかなかったの。近所の目もあるから、お母さんは仕事に行ってるって事にしとけって言われてたし」

何と無く予想は出来るが、大人になった彩花の口から事情を事細かに聞かされるのは胸が痛む。


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