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昼想夜夢~君、想ふ~
第3章 戸惑い
「で、高校で北条と出会ったんだってな?」

確か北条にそう聞いたな。
北条が高校三年生の時に彩花が一年生。
部活で知り合ったとか何とか…。

「うん。最初は気にもならなかったんだけど、社会人になって再会してからのお付き合い」
「…そうか」

彩花も恋人を作る年齢になってしまったか。
それも俺の後輩。
北条は調子のいいやつだが、優しいところもあるし、きっと彩花を幸せにしてくれる。
それは俺にとっても喜ばしい事だ。

北条に任せておけば…。




――――――っ!

何だ…?
胸が痛い…。
彩花に出会ってから感じてた胸の痛み。
チクチクと痛む胸。
それが今では、胸が切り刻まれたみたいに痛い。



「実はね、高校卒業してから一度だけ純お兄ちゃんのアパートまで行った事あるんだよ?」
「え?俺のあのアパートまで?」
「うん。昔の記憶を辿って何とか…。でも、純お兄ちゃんは引っ越した後で、結局会えずじまいだったけど」

俺は彩花がいなくなったすぐ後に大学を卒業。
そのまま今の会社に就職して、通勤のために会社の近くにアパートを借りた。
その後、給料が上がるに連れて引っ越しを繰り返し、今はこのマンションということだ。

「あー、何度も引っ越してるからな」
「でも、こうしてまた純お兄ちゃんと会えたんだもん。本当に夢みたい」


ニコリと笑った彩花の顔が可愛すぎて、あの頃の少女の面影は陰を潜めていた。
そんな可愛い顔でこっちを見るなよ…。

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