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昼想夜夢~君、想ふ~
第3章 戸惑い
「んぅう…、ん…っ!!」



―――――ドンッ!



一瞬、油断したのか体の力が抜けた。
と、同時に彩花が両手で俺の体を突き放し、俺と彩花の体は離れた。
俺は再び床に倒れ込んでしまい、彩花は恐怖からか俺の体から跳び跳ねるように離れた。

「な、何するのよ…っ」
「はっ、何って…」

俺はゆっくりと体を起こし、その場に座るような体制に戻した。

本当に…、小さい頃から全然変わってない。
姿形は変わっても、危機管理能力に乏しいところなんか昔と同じだ。
昔は俺の部屋に付いてきたり、今は今で男の部屋にのこのこと入って来てしまうんだから。

「まだわかんねぇの?もしかして、北条ともしたことなかったとか?」
「…なっ」

俺は何を口走ってるんだろう?
何をしでかそうとしてるんだろう?
彩花は俺の妹みたいなもんで、今は北条の彼女なのに。

「それとも、男を舐めてる?」
「な、何をいきなり…」

冷静に自分を制止させようと働く理性。
それに相反して崩落していく自分を止められない。

「一人暮らしの男の部屋に上がり込んで、無事に帰れるとでも思ってんのか?」

彩花にとっても俺はお兄ちゃんで、昔と同じ感覚で遊びに来たつもりなのだろうけど
子供と大人とじゃ話が違うんだよ。

ゾッとしたような彩花の表情。
俺に恐怖を感じてるのがよくわかる。
彩花にそんな顔をさせてしまって申し訳ないと思う反面、恐怖に怯えた彩花の顔がたまらなく可愛いと思ってしまった。

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