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昼想夜夢~君、想ふ~
第4章 君に触れる
「お前ねー…」

呆れたようにタメ息を付いたが

「小川さんと再会した時の彩花、すっげぇ嬉しそうでしたもん!小川さんは優しいお兄ちゃんだって自慢してましたし」



…お兄ちゃん。
北条、お前は知らねぇだろうが、俺はもう彩花のお兄ちゃんじゃない。
今の彩花が俺に会って喜ぶはずがない。
俺は、彩花のお兄ちゃんじゃなくなったんだから。
土曜日、俺は彩花をムリヤリ汚したんだからな。

憎まれてはいるだろうが、喜ばれるはずがねぇわ。

「彩花は一人っ子ですから、お兄ちゃんが出来たみたいって喜んでますし、俺も小川さんの事は兄貴みたいだと思ってますから」

お前らはどうか知らんが、俺にはこんな弟や妹が出来た覚えはない。
だが、北条の気持ちは何と無くわかった。

彩花と俺の間には恋愛感情などはないということ。
北条と彩花にとって、俺は頼れる兄貴分。
間違っても男と女の関係になることはない安全な人間だとでも思ってるのだろう。



「…仕方ねぇな。行ってやるよ。見舞い」
「本当ですかっ!ありがとうございますっ!彩花、喜びますよっ!」

何も知らずに嬉しそうに俺に礼を言う北条を見ても、俺の心は少しも痛まなかった。
寧ろ、北条は俺を少しも怪しんでない。
そっちの方が何かとやりやすくていいなと、俺は最低な事を考えていた。

「あ、彩花の家の住所教えますね!あいつも一人暮らしですから」
「あ、あと、いきなり行ってびっくりさせたいから俺が見舞いに行くことは内緒にしてろよ?」
「あー、土曜日の仕返しッスかー?」

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