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昼想夜夢~君、想ふ~
第2章 記憶
スマホの画面を見て、着信主の名前をチェック。
その瞬間に北条の顔が一瞬緩んだ。
あー、恐らく彼女だろう。
顔に出るなんて正直なやつだ。

「すいません。ちょっと電話して来ます」
「はいはい」

そう言うと、北条はスマホを片手に部屋から出ていってしまった。
ったく、幸せそうな顔しやがって。
ま、付き合って半年ならまだまだお互いの恋心は燃え盛ってる最中だ。
ちょっとした時間でも声が聞きたくなる気持ちはわからなくもない。


一人になった部屋で、俺は天井を見上げながらぼんやりと考えていた。
今回の契約は二年も前から交渉に交渉を重ねて来た結果だ。
アルコール度数を抑え、フルーティーな風味を加えた全く新しいビール。
これは間違いなく我が社の目玉商品になると確信している。
そんな契約を勝ち取った喜びを一人でじっくり味わいたかったのに…、北条の押しには参ったものだ。

が、ここは我慢だ。
せっかくの後輩からの誘いなんだから、ここは有り難く祝われよう…。
つーか、何で先輩の俺が後輩に気を使わにゃならんのか。

はぁ、と溜め息を付いていると



「あ、小川さん。すいません」

物の五分もしないうちに北条が戻ってきた。
どうやら彼女との電話は終わったようだ。

「おぅ、おかえり。早かったな」

彼女との電話にしてはやけに早いな。
と、思っていると




「あの、小川さん。今からここに彼女呼んでもいいッスか?」

――――――!!!???




「はっ!?か、彼女っ!?」

いきなり北条が彼女を呼ぶと言い出した。
は?彼女って、北条の彼女だよ、な?

は?北条の彼女をここに呼ぶっ?
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