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昼想夜夢~君、想ふ~
第4章 君に触れる
まるで汚いものでも見るかのように俺を睨んでいる。
こんな時ですら俺は喜んでいる。
今、彩花の瞳に映っているのは俺だけだから。
他の誰でもない俺だ。

憎んでいるかも知れないが、その瞳はもう二度と、俺を兄として見ることはないだろう。

「―――とりあえず、北条に怪しまれるような言動は避けろ。それと、仕事へはちゃんと行け」
「こんな状態で、どうやって働けって言うのよ…」
「なら当面の生活費ぐらいは振り込んでやる」

「あんたなんかにお世話されるぐらいなら野垂れ死んだ方がましよっ!!」



俺は彩花に心底恨まれている。
それでもいい。
もっともっと俺を恨めばいい。
北条の事を考える暇なんてないくらい。

もう二度と、俺を兄だと思わないくらいに。


「どんな顔して…、まー君に会えって言うのよぉ…」




俺は彩花を泣かせてばかりだ。
本当は、彩花の笑顔が見たいはずなのに。
彩花の幸せを誰より願っていたはずなのに。

何で俺は、彩花を傷つけ続けてるんだろう…。

「俺は帰るから、さっさと愛しの北条に連絡でも入れろよ。今頃、友人と飲んでるはずだから」

これ以上、彩花の泣き顔を見たくない。
彩花の泣き顔を見てると、胸が酷く痛む。
彩花を泣かせた張本人は俺なのに。

「ぐす…、ひっく…」

背中に聞こえるのは彩花の泣き声。

頼むから…、泣かないでくれ…。
彩花を傷つけたのは俺なのに、情事を終えた後の彩花の涙がこんなにも辛く感じるなんて。

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