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昼想夜夢~君、想ふ~
第5章 BIRTH DAY
泥酔して呂律が回らなく、話す内容も支離滅裂。
だが、俺は同僚のその言葉に言い返す事が出来なかった。

こいつら、今はこんな状態だが、仕事中はちゃんと俺の事を見ている。
仕事に身が入ってないとか、上の空とか。

「それ、山下さん(同僚)の気のせいじゃないんですかー?」
「いーや!どっかのお姉ちゃんの事を思い出してんだぜ、きっと~!今だって俺達と飲んでるより、彼女んとこに行きたがってんだよ~!!」

お前らから誘っといて何だそれ…。
つーか、お前らは俺と違って家に帰れば愛する妻子がいる身だろ?






身が入ってない?上の空?
言い返せないな。
全部当たってる。図星だ。







北条と彩花の事を考えると仕事に身が入らない。
今日、北条が彩花の好きなチョコレートを持って会いに行く、と
それを考えただけで心が騒ぎだして仕事に集中出来なかった。

彩花の誕生日プレゼントについて真剣に悩む姿も
誕生日プレゼントを決めて嬉しそうに話す姿も
どれもこれも俺をイライラさせる。

今だって、確かにイライラしてる。
北条と彩花の事ばかり考えてる。

「あー、それって、昼想夜夢ってやつじゃない?」
「は?」

山下のお気に入りのホステス、マドカさんが聞き慣れない言葉を口にした。
何だ、その言葉。

「何ですか、それ…」
「昼に想う、夜の夢って書くんです。昼間に抱いた想いが夜になっても離れずに夢にまで出てくるって意味です」


昼間に抱いた想いが夜になっても離れずに夢にまで…。


『昼想夜夢』。



あぁ、確かにその通りだ…。
彩花の事を想う気持ちは、夜になっても離れない。
今朝みたいに、まるでフラッシュバックするように夢にまで如実に出てきてしまう。

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