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昼想夜夢~君、想ふ~
第6章 指先
昨夜、彩花は北条を避けた。
多分、セックスもしてないのだろう。
それは俺のせいでもある。


俺が彩花を抱いたから、彩花は罪悪感から北条を避けた。
その事実が何故か俺を高揚させた。
俺のせいなのに。
彩花は俺を恨んでるに違いないのに。
俺が北条を避ける原因を作ったのだ。

それが、こんなにも―――――。

自分の中の破壊願望とサイコパスのような人格。
俺はいつからこんな人間になったのか…。



「あー、だとしたら悪いことしたなぁ。マジでチョコレート買ってやりたかったなぁ」

体調の悪い彩花の為に買えなかったチョコレート。
北条はそれを悔いてるようだ。
頭を掻きながら後悔してる様子。

「またトライすればいいじゃねぇか。GADIVAは逃げねぇよ」
「でも、俺今日残業なんです…」





へぇ。
これも何かの思し召しか…。

「明日は彩花は休みだし、明日行ってみるか…」

明日は水曜日。
不動産関係や車のディーラーは定休日だ。
せっかく取れた契約が水に流れないように、水という字がつく水曜日は定休日にしてる店が多い。
まぁ、験担ぎみたいなもんだ。

今日は、北条は残業で帰りが遅い。
こんな高揚した気持ちで一人で過ごす事もないだろう。

「残業なら仕方ねぇな。残業代の為にしっかり働けよ」
「やっすい残業代の為に頑張りますよ…」

北条の気が変わらないように俺は念を押した。
気が変わって誰かに残業を交代してもらわないように。






俺のこの気持ちは止まらない。
北条を避けず、受け入れ、今日の朝にでも北条の幸せそうな顔を見れば諦めも付いたかも知れないのにな。


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