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アブノーマルごっこ
第14章 嫉妬夫とバーベキュー
見守りの大人が増えたので、小笠原さんが休憩しに私の傍へ座る。
「安田って、家でどんな感じなんですか?」

「うーん、普通ですよ。穏やかで、優しいし。」

「あいつって、なんて言うか欲がないじゃないですか?ガツガツしてないっていうか…」

「それは、そうかも。そんなの見たことないですね。職場でもそうなら、あまり変わらないかも。」

「俺はまだまだ欲だらけだなぁ。欲しくてしょうがないものばっかりだ。」

「いいじゃないですか、その方が毎日楽しそう」

「奥さんみたいな恋人も欲しいし」
じっと見つめられて、頭を過ぎる。
(もしかして口説かれてる?まさかね?)

「こ、恋人なんて。浮気はダメですよー。
奥様泣かせちゃいけません!」
その場を切り抜けようと、少しおちゃらけて見せた。

「奥様には若い恋人が出来て、何年も前から独り身です。あー、なんか久しぶりにこんな気持ちに…」

雲行きの怪しさに、頭の中で警告音が鳴り始める。ここから離れよう。

「もうそんな話やめましょ!あ、私、バーベキューの様子見てきますね。」
立ち上がって浅瀬に向かう。


初対面の人にこんな風に女として見られて、ドキドキしていた。嬉しさも…あった。
もちろん、だからって何かがあってはいけないという考えは揺るがなかった。
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