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アブノーマルごっこ
第14章 嫉妬夫とバーベキュー
バーベキューの場所につくと、子どもたちはもう食べ始めていた。

「あっちの駐車場にいたよ」
「すみません…階段間違えちゃって」
「よかった、事故とかじゃなくてー」

大人同士で乾杯をし直すと、そこへ小笠原さんが戻ってきた。

「これ忘れものー。誰の?」
小笠原さんが手に掲げていたのは、うちの子の水鉄砲だった。

「すみません、うちのです…」
近づいて受け取ろうとすると、小声で話しかけられた。

[ 大丈夫だった?]

私は咄嗟に聞こえないフリをした。すべて無かったことにしたかったんだと思う。

振り返って主人の方を見ると、じっとこちらを見つめていた。
(良かった…小笠原さんと会話しなくて…)

受け取るとすぐ、主人のそばに戻った。

「あいつのこと、どう思う?」

「っ!!…どうって…どうも思わないよ」

「ふぅん… 」

どうしよう…どうしよう…
なんて答えればいいの?

せっかくの楽しげなバーベキューの中、食べたものは味が感じられなかった。


主人と二人きりになるのが怖くて、片付けに積極的に参加した。


夜になり子どもたちはテントの中に集まり、喋ったりトランプをしたりと楽しそうに過ごしていた。時折、大きな笑い声が聞こえてきて、外で焚き火を囲みながらお酒を楽しむ大人たちも会話が弾む。

更に夜は更け、順番でシャワーを浴びようという話になった。二つしかシャワーボックスがないという事で、主人と二人で向かった。
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