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アブノーマルごっこ
第20章 義父とキッチン
私は体の向きを変え、向き合ってハグをする。
「ハグって、マイナスな感情を消してくれるんですって。」

応えるかのように、ぎゅっと抱き締める力が強まった。私自身、抱き締められるのが久しぶりだったこともあり、心地よかった。お義父さんの胸に頬をつけて目をつぶり深く呼吸をした。

久しく触れ合っていない夫への感情を、義父の温もりが癒してくれた。

「遥香さん…」
ハッとして胸から顔を離すと、義父の手が私の顔を撫でた。そのまま優しい手で頭を撫で、肩を撫でてくれる。

心地よくてまた義父の胸に頭をつけた。
「お義父さん…」
よしよしと褒められているような、慰められているような癒しが、そこにあった。


それ以上でも以下でもなく、そうやってただ癒し合うことが、それ以降も何度かあった。そこにやましい気持ちは無かったけれど、夫に見られてはいけないことは分かっていた。


夫のいない時間は義父が一階に来て、一緒に過ごすことが多くなっていった。


ある日、お昼ご飯を食べ終わり、ソファに並んで座ってテレビを見ていた時だった。義父が手を伸ばし、私の頬を優しく撫でた。

「遥香さんの笑顔はいいね」

私は吸い寄せられるように義父に顔を近づけてしまった。
「そんなこと、お義父さんしか言ってくれない…」

義父は黙って私の頭を抱き寄せて、唇を重ねた。
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