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アブノーマルごっこ
第23章 就活生と同好会
要は雑用係のような立場でその場のお手伝いをして、時間があったら話もきけるかもしれないってことらしい。自分のことをアピールできるかもしれない…

リクルートスーツだと硬すぎるから、少しおしゃれしてきてくれればいいとのこと。少し年上のお姉さん雑誌を参考にして、持ってた服を組み合わせることにした。

とにかく仕事ができて、採用したくなるような印象を残さなきゃ。

食事会が行われるのは、新宿のとあるホテルのスイートルームだった。朝イチにホテルのロビーで砂川さんと待ち合わせ、部屋に入って打ち合わせをした。

7人で食事ができるようテーブルはホテル側がセッティング済みだ。誰がどこに座るかは砂川さんの指示に従い、そこから先は私に任された。

「そんなに構えなくても大丈夫。フランクな集まりだから、求められてることに気づいて応えられれば、きっと誰かの目に止まるんじゃないかな?」

「はいっ、よろしくお願いします。」

「そう固くならないで」
砂川さんに肩をポンポンと叩かれて少し気が楽になった。ふぅぅっと息を吐く。


食事会のスタートまであと30分というときに、急遽もう一人の参加が決まった。

だからって動揺は見せず、落ち着いてフロントに連絡し、椅子と食事の用意をお願いした。動線のチェックをしたり、飲み物の配置を工夫してみたり、砂川さんからの印象も良くしておこうと張り切っていた。


そしてチャイムが鳴った。一人目の出席者だ。

親しげに砂川さんと挨拶を交わし、私の方に目を向けた。
「こんにちは、片桐です。」

「片桐さまは、こちらのお席にお願い致します。」

砂川さんに渡された座 席表を確認して、案内する。片桐さんの名前の横には、大きな食品関係の会社の名前が書いてあった。

「失礼致します、こちら冷たい緑茶でございます。」
コースターを敷いてグラスを置くと、私の顔を見て微笑んでくれた。
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