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真面目で優秀な、憧れの生徒会長はDQNに弄ばれます
第1章 鮎美と雅明

「あ、太田くん」
ドクン、と心臓が脈打つ。
いや、違う。
八木さんに名前を呼ばれたのはこれが初めてだという訳ではない。
伊達に小学生からの同級生ではない、クラスメイトだったり同じ班だったりした訳ではない。
ならどうしてか?
こんな風に二人きりで、こっちを見て呼ばれたのが初めてだからだ。
……それにしても。
それは八木さんだってそうの筈なのに、凄く自然に呼んできた。
この時点で、わかってはいたけど10000パーセント片思いだ。
わかってはいたのと、わかってしまうのでは天と地ほどの差がある。
八木さんと教室で二人きり、しかも夢にまで見た会話のチャンスなのに、ガックリと肩が落ちる。
「これ、太田くんが描いたの?」
八木さんの言葉に、あろう事か返事をしていなかった事に気がつく。
「あ、うん、うん!」
帳尻合わせのつもりか、続けざまに二回返事する僕。
「……ふふ」
(!!)
わ、笑った!
八木さんが僕を見て、僕との会話で笑った!
思わず喜びが大声になりそうな衝動を必死で抑える。
「でもこれ、普通のシャープペンで描いてるよね?」
「え?」
微妙に、いや全然?よくわからかいが想像の範疇にない八木さんの言葉に頭が混乱する。
確かに、僕は漫画家が使うようなペンなんて持っていない。
……というか買うお金もない。
いや、そうじゃなくて。
八木さんにそんな知識があるのが妙なんだろうか?
でも優秀な人だし、不思議ではない……のか?
「……あまり人には言ったことないんだけど、私も興味あるんだ、漫画」
「え!?」
「……やっぱり驚く?」
少し悲しそうな顔をする八木さん。
しまった!!!
確かに、漫画を描く趣味というのは少し照れ臭いことかもしれない。
……僕は気にしないけど。
でも、だからこそ八木さんは人に言っていなくて、それなのに僕にはカミングアウトしてくれたのに。
「そんなことないよ!だって八木さん、美術の絵も小学生の頃表彰されてたもんね!」
思わず出た言葉に被せるように。
「え?」
「え?」
やばい、やらかしたか?
「それって小学生の……低学年の頃のでしょ?」
「うん」
それが、どうかしたのか?
「よく覚えてるね」
そう言った八木さんの表情は、最初僕に見せた笑顔とは、なんだか少し違った物を含んでいるように感じた。
ドクン、と心臓が脈打つ。
いや、違う。
八木さんに名前を呼ばれたのはこれが初めてだという訳ではない。
伊達に小学生からの同級生ではない、クラスメイトだったり同じ班だったりした訳ではない。
ならどうしてか?
こんな風に二人きりで、こっちを見て呼ばれたのが初めてだからだ。
……それにしても。
それは八木さんだってそうの筈なのに、凄く自然に呼んできた。
この時点で、わかってはいたけど10000パーセント片思いだ。
わかってはいたのと、わかってしまうのでは天と地ほどの差がある。
八木さんと教室で二人きり、しかも夢にまで見た会話のチャンスなのに、ガックリと肩が落ちる。
「これ、太田くんが描いたの?」
八木さんの言葉に、あろう事か返事をしていなかった事に気がつく。
「あ、うん、うん!」
帳尻合わせのつもりか、続けざまに二回返事する僕。
「……ふふ」
(!!)
わ、笑った!
八木さんが僕を見て、僕との会話で笑った!
思わず喜びが大声になりそうな衝動を必死で抑える。
「でもこれ、普通のシャープペンで描いてるよね?」
「え?」
微妙に、いや全然?よくわからかいが想像の範疇にない八木さんの言葉に頭が混乱する。
確かに、僕は漫画家が使うようなペンなんて持っていない。
……というか買うお金もない。
いや、そうじゃなくて。
八木さんにそんな知識があるのが妙なんだろうか?
でも優秀な人だし、不思議ではない……のか?
「……あまり人には言ったことないんだけど、私も興味あるんだ、漫画」
「え!?」
「……やっぱり驚く?」
少し悲しそうな顔をする八木さん。
しまった!!!
確かに、漫画を描く趣味というのは少し照れ臭いことかもしれない。
……僕は気にしないけど。
でも、だからこそ八木さんは人に言っていなくて、それなのに僕にはカミングアウトしてくれたのに。
「そんなことないよ!だって八木さん、美術の絵も小学生の頃表彰されてたもんね!」
思わず出た言葉に被せるように。
「え?」
「え?」
やばい、やらかしたか?
「それって小学生の……低学年の頃のでしょ?」
「うん」
それが、どうかしたのか?
「よく覚えてるね」
そう言った八木さんの表情は、最初僕に見せた笑顔とは、なんだか少し違った物を含んでいるように感じた。

