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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
「あら、気が利くのね。ありがとう」
「どういたしまして」
千聖は少し緊張しながら、印鑑を押した。
「キレイに押せたね。じゃあさっそく、市役所に行こうか。身分証忘れないでね」
「財布に免許証が入ってるわ」
千聖が目の高さまで財布を持ち上げながら言うと、紅玲は意外そうな顔をする。

「チサちゃん免許持ってたんだ、意外」
「地元は車無しじゃ生活出来なかったから……。こっちは電車でどこでも行けるし、駐車場代かかるから、今は持ってないけどね」
千聖はどこか寂しそうに笑う。

「それなら旅行から帰ってきたら、一緒に買いに行こうか。庭もそこそこ広いし、車の1台や2台増えたところで、そう狭くはならないでしょ」
「いいの?」
千聖は目を輝かせて紅玲を見上げる。
「当たり前でしょ。なんなら婚姻届出し終わったあと、見て回ってもいいしね」
「それは楽しそうね、はやく行きましょう」
千聖は嬉しそうに紅玲の腕を引っ張る。紅玲はそんな彼女を微笑ましく思いながら、一緒に家を出た。

市役所に行って婚姻届を出すと、ふたりは車屋を見て回る。店員の話を聞きながら見ていると試乗を勧められたが、断ってアイスクリーム屋に入ってしまった。
「試乗しなくてよかったの?」
紅玲はバニラアイスをひと口食べると、千聖に聞く。
「うーん、気になりはしたけど、今日はこうしてデートしたかったから。車はまた後ででいいわ」
「あっはは、嬉しいこと言ってくれるね。ひと口あげる」
上機嫌になった紅玲は、バニラアイスをすくうと、千聖の口元へ持っていく。千聖はバニラアイスを食べると、チョコキャラメルのアイスを紅玲の口元へ持っていく。

「今日はチーズベリーじゃないんだ?」
「チョコキャラメルはこの時期限定なのよ。ねぇ、紅玲。今日はどうやって過ごしましょうか? 今日は結婚記念日だもの、あなたと思い出を作りたいわ」
「チサちゃんは本当に喜ばせ上手だよねぇ。何しよっか」
紅玲は楽しそうにカップの中のアイスをクルクル回す。
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