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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
「そうね、どうせなら普段私達がしない過ごし方をしない? そもそも、外でのデート自体、ほとんどしないんだし……」
「確かに。平日はチサちゃん仕事だし、土日はオレのワガママで一緒に家で過ごすことがほとんどだったね。チサちゃんはどこに行きたい?」
そう聞かれると、千聖は顎に手を添えて考え込んでしまう。
「そうね……。いざ聞かれるとちょっと悩むわ……。紅玲は行きたいところないの?」
「オレが行きたいところって、チサちゃんにとって面白いか分からないよ?」
紅玲は珍しく困り顔で言う。
「そんなの、行ってみないと分からないじゃない」
「まぁね。それじゃあこれ食べ終わったら行こうか。その代わり、チサちゃんが行きたいところも考えておいてよ?」
「えぇ、分かったわ」
千聖はアイスクリームを食べながら、どこに行こうか考える。今まで千聖が足を運んでいたのは酒屋がほとんどで、娯楽施設の類にはあまり興味がなかった。第一、デートらしいデートも大してしていない。
結局行くところを決められないまま、アイスクリーム屋から出ることになってしまった。
「ねぇ、どこに行くの?」
「ついてからのお楽しみ」
紅玲は楽しげに言うと、千聖の腕を引いて歩く。
歩くこと15分、紅玲が立ち止まったのは古めかしい喫茶店。どこか厳しい雰囲気に千聖が戸惑っていると、紅玲は店に足を踏み入れる。千聖も少し遅れて入ると、古本と珈琲の香りが鼻腔をくすぐる。あまり広くない店内の壁は、本でぎっしり埋まっている。
「いらっしゃいませ。空いているお席へどうぞ」
あごひげをはやした初老の男性は、優しい笑顔でふたりに声をかけた。
「奥の席でいい?」
「えぇ、いいわ」
ふたりが奥の席に座ると、初老の店主がお冷とおしぼりをふたりの前に並べる。
「いらっしゃいませ。ようこそ、本と珈琲の店へ。当店の本はご自由にお読みください。こちらはご来店してくださったお客様全員にお配りしております、どうぞお使い下さい」
店主はしおりと説明書をふたりの前に置くと、恭しく一礼してカウンターの向こう側へ行く。
「確かに。平日はチサちゃん仕事だし、土日はオレのワガママで一緒に家で過ごすことがほとんどだったね。チサちゃんはどこに行きたい?」
そう聞かれると、千聖は顎に手を添えて考え込んでしまう。
「そうね……。いざ聞かれるとちょっと悩むわ……。紅玲は行きたいところないの?」
「オレが行きたいところって、チサちゃんにとって面白いか分からないよ?」
紅玲は珍しく困り顔で言う。
「そんなの、行ってみないと分からないじゃない」
「まぁね。それじゃあこれ食べ終わったら行こうか。その代わり、チサちゃんが行きたいところも考えておいてよ?」
「えぇ、分かったわ」
千聖はアイスクリームを食べながら、どこに行こうか考える。今まで千聖が足を運んでいたのは酒屋がほとんどで、娯楽施設の類にはあまり興味がなかった。第一、デートらしいデートも大してしていない。
結局行くところを決められないまま、アイスクリーム屋から出ることになってしまった。
「ねぇ、どこに行くの?」
「ついてからのお楽しみ」
紅玲は楽しげに言うと、千聖の腕を引いて歩く。
歩くこと15分、紅玲が立ち止まったのは古めかしい喫茶店。どこか厳しい雰囲気に千聖が戸惑っていると、紅玲は店に足を踏み入れる。千聖も少し遅れて入ると、古本と珈琲の香りが鼻腔をくすぐる。あまり広くない店内の壁は、本でぎっしり埋まっている。
「いらっしゃいませ。空いているお席へどうぞ」
あごひげをはやした初老の男性は、優しい笑顔でふたりに声をかけた。
「奥の席でいい?」
「えぇ、いいわ」
ふたりが奥の席に座ると、初老の店主がお冷とおしぼりをふたりの前に並べる。
「いらっしゃいませ。ようこそ、本と珈琲の店へ。当店の本はご自由にお読みください。こちらはご来店してくださったお客様全員にお配りしております、どうぞお使い下さい」
店主はしおりと説明書をふたりの前に置くと、恭しく一礼してカウンターの向こう側へ行く。