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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
「それならよかった……」
安心しきった千聖は、紅玲にもたれかかる。
「でも意外だなぁ、チサちゃんが子供を欲しがるなんて」
「欲しいかどうかは、私自身まだ分からないの。でも、あの時の言葉がなんだか気になっちゃってて……」
「なにも不安がることはないよ。オレはチサちゃんがいるだけで満足だけど、チサちゃんが子供欲しいっていうなら反対はしないし、子育てだってしっかりやっていこうと思ってるから。オレ達の子なら、どっちに産まれてもきっと可愛いんだろうなぁ」
紅玲は未来に思いを馳せるように、目を細める。

「ふふっ、そうね。そう考えると、子供を作るのも悪くないわね。……まだ慎重に考えていくつもりだけど」
「時間はたくさんあるんだから、ゆっくり考えればいいよ。さて、そろそろ寝ようか。明日は結婚記念日になるんだから」
「そんなこと言われたら、緊張して眠れなくなりそうね」
「もし寝付けなかったら、その時はたくさん抱いてあげるよ」
冗談を言い合いながら、ふたりは寝室へ行った。

翌日、朝食を終えると紅玲は婚姻届とボールペンを食卓の上に並べた。ほとんど記入済みで、あとは千聖の名前と判子のみだ。
「いつの間に用意したのよ……。証人に優奈と斗真の名前まで書いてあるし……」
千聖は婚姻届を手に取って、まじまじと見る。

「1週間くらい前からだよ。証人には、昨日チサちゃんがドレス着るのに手間取ってる時に書いてもらったんだ」
「通りで優奈が着替えを手伝ってくれなかったわけね」
千聖は苦笑しながら、ボールペンを手に取り、名前を書く。

「判子持ってくるわ」
「うん、いってらっしゃい」
千聖は自室に戻ると、引き出しから水色のポーチを引っ張り出した。印鑑や通帳などは、すべてこの中にしまってある。

「もうすぐ綾瀬じゃなくて、鈴宮になるのね……」
印鑑を見つめながらしみじみ言うと、紅玲の元へ戻った。
「おまたせ」
食卓に戻ると、朱肉が用意されている。
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