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続・独占欲に捕らわれて
第3章 紅玲の取材旅行
紅玲はコンビニに寄るとエナジードリンクを買って、ネットカフェに入った。
「どうなるかな……」
神妙な顔をして呟くと、USBメモリを差し込み、ワードを開く。

書きかけのシナリオを開いて書き始めるが、すぐに手が止まってしまう。
「はぁ……寂しすぎてどうにかなりそう……」
盛大なため息をつくと、チラリと時計を見る。まだ9時手前だ。
「はやく10時にならないかなぁ……」
紅玲はエナジードリンクを半分近く飲むと、再びキーボードに指を滑らせた。

だが10分もしないうちに紅玲の手は止まる。
「死にそう……」
蚊の鳴くような声で呟くと、紅玲は背もたれに寄りかかる。
千聖と同棲するようになって1週間ほど経った頃から、シナリオライターとしての仕事が上手くいっていない。というのも、千聖がいない時間は情緒不安定になってしまうため、なにをするにしてもすぐに集中力が途切れてしまうのだ。ギリギリ納期には間に合わせてはいるが、情緒不安定が悪化して納期が遅れるようになるのも時間の問題だと、紅玲本人も分かっている。

「どうしたら、チサちゃんはずっとオレのそばにいてくれるんだろう……?」
本日何度目か分からないため息をつきながら、適当な言葉を検索していく。
“逃避行”と検索したところで、妙案を思いついた。

「そっか、チサちゃんにも同じ思いをさせればいいんだ」
紅玲の目はとたんに輝きだし、調べごとをしながらノートになにかをまとめ始める。
「うん、微調整とか必要だけど、こんな感じかな」
紅玲は満足気に頷くと、ノートをしまって時計を見る。もう10時手前だ。
「急いで出なきゃ……」
USBメモリを抜いて荷物をまとめると、紅玲はネットカフェを後にした。

10時2分になると、紅玲は千聖に電話をかける。千聖はワンコールで出てくれる。
『もしもし、紅玲』
愛しい人の声に、頬が緩む。
「お疲れ様、チサちゃん。仕事は順調?」
『えぇ、順調よ。そっちは?』
「なかなかいい感じにまとまってきたよ」
USBメモリで手遊びをしながら言うと、千聖のホッとしたような息遣いが聞こえてきた。
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