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続・独占欲に捕らわれて
第3章 紅玲の取材旅行

「ごめん、今なんて?」
「明日から取材旅行に行こうと思ってる」
先程の言葉を、紅玲はもう1度繰り返す。
「随分急ね……」
「実は時代物の作品を書くことになってね、納期も今回短くて。資料を探すよりも、縁のある土地に行った方がはやく書ける気がするんだ。それに、物書きとしてもいろんな場所に行くのって大事だしね」
生き生きと語る紅玲を、千聖は寂しそうに見つめる。
「前もって言ってくれたら、有給とったのに……」
「オレもチサちゃんと行きたかったけど、今回急に入った話だからねぇ……」
紅玲は残念そうに言うと、残り半分のウーロン茶を一気に飲み干す。
「どこ行く予定なの? 本当にひとりで平気? 私の故郷が初めての遠出だったんでしょ?」
心配そうに次から次へと質問を投げかけてくる千聖に、紅玲は苦笑する。
「京都と奈良に行く予定だよ。トーマが一緒に行ってくれるから、大丈夫」
「そう、ならいいけど……」
千聖の表情は言葉とは裏腹に、納得出来ないといいたげだ。
「お土産ちゃんと買ってくるし、毎日電話するよ」
「えぇ……」
紅玲は安心させようと笑顔を作るが、千聖の表情は暗いままだ。
(取材旅行に行くって言っただけで、こんなに寂しそうにしてくれるなんて、嬉しいなぁ。でも、これだけじゃ足りないんだよねぇ)
紅玲は内心黒い笑みを浮かべながら、千聖に旅先での計画を聞かせた。
ふたりは家に帰って風呂を済ませると、寝室に入る。いつもは寝る前に愛し合うが、明日から不慣れな旅行で疲れるだろうからと、紅玲の方から断った。
「たまにはこうしてのんびりするのもいいものだねぇ」
ベッドの中で千聖を抱きしめながら、紅玲はゆったりした声音で言う。
「ねぇ、本当に大丈夫? なんなら今からでも上司に連絡して、休みを取るけど……。というか、何日の予定?」
「過保護だねぇ、チサちゃんは。1週間くらいの予定だよ。明日の昼過ぎに家を出て、最初の3日は京都に、残りは奈良に滞在する予定なんだ」
紅玲は千聖の寂しさに気づかないふりをしながら、淡々と予定を伝えていく。
「明日から取材旅行に行こうと思ってる」
先程の言葉を、紅玲はもう1度繰り返す。
「随分急ね……」
「実は時代物の作品を書くことになってね、納期も今回短くて。資料を探すよりも、縁のある土地に行った方がはやく書ける気がするんだ。それに、物書きとしてもいろんな場所に行くのって大事だしね」
生き生きと語る紅玲を、千聖は寂しそうに見つめる。
「前もって言ってくれたら、有給とったのに……」
「オレもチサちゃんと行きたかったけど、今回急に入った話だからねぇ……」
紅玲は残念そうに言うと、残り半分のウーロン茶を一気に飲み干す。
「どこ行く予定なの? 本当にひとりで平気? 私の故郷が初めての遠出だったんでしょ?」
心配そうに次から次へと質問を投げかけてくる千聖に、紅玲は苦笑する。
「京都と奈良に行く予定だよ。トーマが一緒に行ってくれるから、大丈夫」
「そう、ならいいけど……」
千聖の表情は言葉とは裏腹に、納得出来ないといいたげだ。
「お土産ちゃんと買ってくるし、毎日電話するよ」
「えぇ……」
紅玲は安心させようと笑顔を作るが、千聖の表情は暗いままだ。
(取材旅行に行くって言っただけで、こんなに寂しそうにしてくれるなんて、嬉しいなぁ。でも、これだけじゃ足りないんだよねぇ)
紅玲は内心黒い笑みを浮かべながら、千聖に旅先での計画を聞かせた。
ふたりは家に帰って風呂を済ませると、寝室に入る。いつもは寝る前に愛し合うが、明日から不慣れな旅行で疲れるだろうからと、紅玲の方から断った。
「たまにはこうしてのんびりするのもいいものだねぇ」
ベッドの中で千聖を抱きしめながら、紅玲はゆったりした声音で言う。
「ねぇ、本当に大丈夫? なんなら今からでも上司に連絡して、休みを取るけど……。というか、何日の予定?」
「過保護だねぇ、チサちゃんは。1週間くらいの予定だよ。明日の昼過ぎに家を出て、最初の3日は京都に、残りは奈良に滞在する予定なんだ」
紅玲は千聖の寂しさに気づかないふりをしながら、淡々と予定を伝えていく。

