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続・独占欲に捕らわれて
第3章 紅玲の取材旅行
千聖のハイボールを持ってきた店員にそれぞれのカクテルと、数種類のつまみを注文する。他愛のない話がダラダラと始まる。
だがカクテルとつまみが運ばれてきた途端、話の内容は恋バナになった。
(特殊なスイッチねぇ……)
千聖は恋バナを始めた彼女達を、不思議顔で眺めた。彼女達は元カレの話や、今の彼氏の不満話で盛り上がる。紅玲に不満を持たない千聖は、好きで付き合っているのにそんなこともあるのかと聞いている。

「綾瀬先輩は、彼氏さんに不満とかないんですか?」
完全に愚痴大会になってしまったところで、美幸が千聖に話を振る。
「特にないわ。今回急に取材旅行に行っちゃったのは寂しいけど、それだけ。私に隠し事なんかしないし、在宅ワークだからって、家事もほとんどやってくれるわ。それに、毎日キスしてくれるもの」
さすがに帰宅後すぐに首輪を付けられて愛されることは伏せたが、言えることは言葉にした。彼女達に紅玲の話をしながら、自分がどれだけ恵まれているのか改めて思い知る。

「愛されてますねぇ……」
「いいなぁ……。元カレなんか洗濯物ちょっと畳んだくらいで偉そうにしてたんですよ……」
「でもでも、同棲してるならお金のことで揉めたりしませんか? 家賃とか公共料金とか」
どうしても千聖から不満が聞きたいのか、美幸は食い下がる。

「今住んでる家はね、同棲を決めてから紅玲が買ってくれたのよ」
「えぇっ!?」
またしても3人の声が綺麗に揃った。
「買ってくれたって、結婚してないのにですか?」
「えぇ、そうよ。正式な婚約はしてないけど、お互いになくてはならないほど大きな存在だからって。さすがに家は早すぎるって言ったんだけど、こういうのは早い方がいいって聞かなくて」
千聖の話を、3人は口をぽかんと開けながら聞いている。

「……こういうこと聞くのもアレですけど、ローンはどうなってるんですか?」
千春は遠慮がちに聞く。
「紅玲が一括で支払ったの。公共料金はよく話し合って割り勘にしてるわ。お金のことでちょっとした言い合いになることはあるけど、私が支払おうとしたものを向こうが支払っちゃった時くらいね」
「玉の輿だ……」
瑞希がぼそっと言う。
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