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続・独占欲に捕らわれて
第3章 紅玲の取材旅行
千聖も優奈も、運ばれてきた酒を一気に飲み干す。
(これは……どうしようかしら?)
店内を見回すと、カクテルを楽しんでいる4人組の若い女性客を見つける。千聖は洋酒つまみセットを持って、彼女達のテーブル席へ行った。

「すいません。よかったらこれ、もらってくれませんか?」
女性達はキョトンとしながら千聖を見上げる。
「あの子があそこまで騒ぐと思ってなくて、頼んじゃったんです……。一刻も早く、ここから連れ出したくて。もちろん代金は私が払います」
優奈をチラリと見ながら言うと、彼女達は納得したように頷く。

「それは大変ですね……。ありがたくいただきます」
手前にいた女性は、頭を下げながら洋酒つまみセットを受け取ってくれた。
「お礼と言っちゃなんですけど、これもらってください。ゲーセンで取りすぎちゃったんです」
奥にいた女性は、大きな缶に入ったポテトチップスを千聖に渡す。

「すごい……! 返ってすいません、ありがとうございます」
「いえいえ、お友達慰めるの、頑張ってくださいね」
あたたかい言葉をかけられながら、千聖は優奈の元へ戻る。

「どうしたの? それ」
優奈は目を丸くしてポテチ缶を見る。
「あそこの女性客と交換したの。おつまみも手に入ったことだし、場所を変えるわよ」
千聖は伝票を優奈に持たせ、彼女の手を引く。一刻も早く、ここから出たくて仕方がなかった。

割り勘で支払いをすると、千聖は優奈の手を引いたまま歩き続ける。
「どこに行くの?」
優奈は鼻をすすりながら訊ねる。
「ラブホ。そこでならいくら大声で泣いても問題ないわ。その前に、お酒を買いに行きましょう」
「うわぁん、千聖ー! 好きー!」
優奈はポテチ缶が足に当たるのも気にせず、千聖に抱きつく。

「ちょっと、歩きにくい! 泣くのはホテルについてからにしなさい」
そう言ってポケットティッシュを渡すと、優奈はくしゃくしゃの笑顔で頷き、鼻をかんだ。
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