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続・独占欲に捕らわれて
第3章 紅玲の取材旅行
「大野さん、お久しぶりです。しばらくは同棲してる彼が、お弁当を作ってくれてましたから」
「まぁ、素敵な彼氏さん見つけたのね! それで、今日は彼氏さん作ってくれなかったのかい?」
「久しぶりにここのボロネーゼが食べたくなっちゃって」
本当のことを言うのは気が引けて、とっさに嘘をつく。

「もう、嬉しいこと言ってくれるじゃない! オマケしてあげちゃう!」
大野はボロネーゼを多めに盛り付けると、小さなハンバーグを2つものせた。
「あ、ありがとうございます」
「いいってことよ。たまにはこうしてうちを利用してね」
引きつった笑顔を作る千聖に、大野は満面の笑みを返す。

大盛りのボロネーゼを持って後輩達が待つテーブル席に行くと、彼女達は目を丸くして千聖の手元を見る。
「綾瀬先輩、久しぶりの食堂だからって気合い入れすぎじゃないですか?」
「違うわよ……。久しぶりだからって、大野さんがサービスしてくれたの。でも、食べ切れる気がしないから少しもらってほしいんだけど……」
「ハンバーグもらいますね」
瑞希は千聖の返事も聞かずに小さなハンバーグを1つ取ると、ごはんの上にのせて食べた。ちなみに彼女が買ったのは、ハンバーグ定食である。

「少しだけパスタもらっていいですか?」
「私も、少しだけパスタもらいます」
千春と美幸は、遠慮がちに言う。
「えぇ、もちろん。食べたい分だけとってちょうだい」
千聖は取りやすいようにと、ふたりに皿を寄せる。美幸はひと口分、千春は美幸より少し多めに取る。

「ありがとう。これくらいなら食べられそうだわ」
3人に礼を言うと、千聖は手を合わせてからボロネーゼをひと口食べる。
(あれ……?)
千聖の手は、フォークをくわえた状態で止まる。
(ここのボロネーゼって、こんなに単純な味だったっけ? もっと美味しかったと思ったんだけど……)
自分の記憶とは違う味の感じ方に戸惑っていると、目の前で手が振られる。
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