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続・独占欲に捕らわれて
第3章 紅玲の取材旅行
「綾瀬先輩、ぼーっとしてどうしました?」
瑞希は心配そうに、千聖の顔をのぞき込む。
「ううん、なんでもないわ」
千聖は笑顔を作ると、ボロネーゼを食べ進めた。

この日、仕事が終わると千聖はまっすぐ帰宅する。玄関のドアを開けようとドアノブを押すが、ビクともしない。
「紅玲がいないんだもの、当たり前よね……」
カバンから鍵束を出して解錠すると、1日ぶりに家に入った。しばらく閉め切りだったせいか、少し空気が淀んでいる。
「まずは空気の入れ換えからね……」
リビングのソファにカバンを置くと、窓を開けて網戸にしていく。2階の部屋もいくつか換気すると、インスタントコーヒーを作ってリビングのソファに落ち着く。

「今までは気にもとめなかったけど、広い家……」
千聖はリビングを見回しながら、しみじみと呟く。リビングだけでも、以前千聖がひとり暮ししていた部屋より広々としている。そんな広い家にしばらくひとりでいなければならないと思うと、寂しさがこみ上げてくる。
「ダメダメ! こんなので弱気になってどうすんの。せっかくなんだから、ひとりを満喫しなきゃ」
自分に言い聞かせると、風呂を沸かしてコンビニへ足を運んだ。

千聖は買い物かごを片手に酒コーナーに行くと、ビール、焼酎、チューハイ……、揃う酒は一通りかごに入れていく。半分以上が酒で埋まったところで、今度はナッツ類をメインにおつまみをかごに入れてレジに持っていく。
高校生のアルバイト店員は驚いて千聖とかごを交互に見ると、いそいそとレジ打ちを始めた。
(こんな反応されるのも、久しぶりだわ)
ひとり暮しをしていた頃は、仕事帰りにこうして酒やつまみを大量買いしては、よく店員に驚かれたものだ。

会計が終わると、帰宅して冷蔵庫を酒でいっぱいにした。冷凍庫を開けると、氷専用の引き出し以外は、全部ジップロックに入った食品で埋まっている。
「紅玲の言う少しってなによ……」
千聖は苦笑しながらも、愛おしげにジップロックを1つ取り出した。中身はひと口サイズのハンバーグで、解凍して自分で焼くだけのものだ。他にも餃子やピーマンの肉詰め、コロッケなど、どれも弁当に詰めて持っていけそうなものばかりだ。
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