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続・独占欲に捕らわれて
第1章 穏やかな朝
「今日はお互いの話をするって決めたんだよね。チサちゃんから、聞きたいこと聞いていいよ」
「そう、ね……」
千聖が紅玲に聞きたいことは決まっているが、ことがことなだけに、歯切れが悪くなってしまう。
「チサちゃん。オレに遠慮することなんてないんだよ?」
紅玲は千聖の髪を撫でながら、優しく声をかける。

「……助教授のこと、聞いてもいいかしら?」
「なぁちゃんのことか、いいよ」
「なぁちゃん? あなた、助教授をそんな呼び方してたの?」
千聖は眉間にシワを寄せた。
「うん、友達感覚だったからね。身長も150センチあるかどうかってところだったかなぁ。小動物みたいで、チサちゃんとは、似ても似つかないよ」
「そうみたいね……」
千聖は助教授を小動物呼ばわりしていることに呆れ返りながらも、言葉を返す。

「なぁちゃんは心理学の講義をしててね。初めての講義で『自分の気持ちを知りたくてここに来た人、手を上げてください』なんて言うから驚いたよ」
「またおかしな質問を……。それで、その後助教授はなんて?」
「何人か手を上げた人がいて、彼らに『その問題は心理学ではどうすることもできないので、今すぐ哲学を学びに行きなさい』って言ってた。それでなぁちゃんのことが気に入ったんだよね」
紅玲は懐かしむように目を細める。

(自分から聞いといてこんなこと思うのもおかしいんだろうけど、他の女性の話をしてそんな顔されるの、面白くないわ……)
千聖は自分のワガママに嫌気がさした。
「確か、紅玲は熱心に質問をしてたりしたのよね?」
「そうだよ。なぁちゃんの講義は面白かったからね。講義の後に質問することもあったけど、よく雑談してたっけ……。そのせいで、頭のネジが外れちゃった女の子達に酷い嫌がらせをされてね……。オレが止めに入ると酷くなるから、下手に動けなかったし……。そのことはまだ、後悔してるかな……」
紅玲は甘えるように千聖に擦り寄ると、彼女の顔をのぞき込んだ。千聖は困り顔で紅玲を見つめる。
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