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続・独占欲に捕らわれて
第3章 紅玲の取材旅行
「少しはやいけど、もう寝ましょうか……」
千聖は洗い物を済ませると、寝室に入った。1番長くふたりでいるこの部屋は、紅玲の残り香がする。

「柄じゃないけど、せめて夢で会えたらいいわね」
紅玲の枕を抱きしめながら眠りについた。

千聖の要望通り、紅玲は夢に出てきてくれた。だが彼は、千聖の目の前にはいない。洋式トイレの上にある小型テレビの中だ。やかましいジャズ、閉塞感のある喉、寝袋のような拘束具で動かない躯……。
小型テレビにはウェーブのかかった髪に、シフォンスカートの女性が映り込む。ふたりは熱い口づけをかわしながら、互いの服を脱がせていく。
「やめて! 私の紅玲に触らないで!」
いくら叫んでも声は届かず、紅玲は女性の貧相な胸を夢中で愛撫し、女性は気持ちよさそうに目を細めて、だらしなく口を開ける。ほんの一瞬、女性は勝ち誇ったような顔を千聖に見せた。

急にジャズが止み、ふたりの声が鮮明に聞こえた。
「大好きだよ、ミチル」
「私もよ、紅玲……」
ミチルと呼ばれた女性は、紅玲に触れるだけのキスをすると、彼の首に腕を回す。紅玲は千聖に妖艶な笑みを見せると、ミチルを押し倒した。

午前3時、千聖は勢いよく起き上がる。パジャマは汗でびっしょりだ。
「はぁ、はぁ……なんて夢なの……」
契約期間最終日と似て非なる悪夢に、千聖は頭を抱える。
「あの時よりもひどかった……。もう、最悪……」
千聖はふらりと立ち上がると、着替えを持って浴室へ行き、汗を流した。躯はさっぱりしたものの、心は鉛のように重苦しい。

「紅玲が浮気するなんて、ありえないのに……」
先程の夢を思い返しながら、今にも泣きそうな声で呟く。千聖は紅玲からこれ以上ないほど愛されていると自負している。それでも浮気を疑わないのと寂しさは別問題だ。
千聖はこの後ベッドに入ったが、結局まともに眠れずに朝を迎えてしまった。

「うぅ、だるい……」
まるで鉄の重りでも繋がれたような躯で、なんとか台所へ行くと、弁当と朝食を作った。
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