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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
「はい、おまたせ」
「ありがとう、いただきます」
千聖は手を合わせると、野菜スープを口にする。
「作り置きも美味しかったけど、やっぱり出来たてが1番美味しいわ」
「そう言ってもらえると、作りがいがあるね」
紅玲は嬉しそうに、スープを食べる千聖を見つめる。

「もう、そんなに見られてたら食べにくいんだけど」
「だって、美味しそうに食べるチサちゃん見てると、幸せな気持ちになるから」
「はやく食べないと冷めるわよ」
千聖が照れ隠しでそっけなく言うと、紅玲は小さく笑って手を動かした。軽食を終わらせると、ふたりはホットココアを持ってリビングのソファに並んで座る。

「はぁ、会社を気にしないで夜中にこうしてゆったりできるなんて、幸せねぇ……」
千聖はしみじみ言いながら、紅玲に寄りかかる。
「だからって、夜更かしばかりしちゃダメけどねぇ、今日は特別」
紅玲は千聖を抱きしめる。

「ねぇ、チサちゃん……。これからはずっと、オレのそばにいてくれるんだよね?」
「当たり前でしょ。なんのために仕事を辞めたと思ってるのよ?」
千聖はそう言って不意打ちにキスをすると、イタズラっぽく笑ってみせた。
「全部、あなたのためなんだから」
「ありがとう、チサちゃん。愛してるよ……」
紅玲はさらに強く千聖を抱きしめると、今度は彼からキスをした。

「紅玲、取材旅行の件とは別で聞きたいことがあるの」
「なぁに?」
「書斎以外にもいろんな部屋を見たんだけど、どうして金庫を地下室に置かないで、1階と2階にわけてるの?」
何がおかしいのか、紅玲はクスクス笑い出す。

「あれね、全部オレの財産が入ってるんだよ。といっても、現金じゃなくて純金だけどねぇ」
「純金!? なら、尚更地下室に入れておいたほうがいいんじゃ……」
千聖は驚き、紅玲をまじまじと見る。紅玲はそんな千聖の頭に、骨ばった大きな手を置いた。
「泥棒だって、まさか2部屋にあると思わないでしょ? だから1階の金庫を荒らされても2階の金庫は無事ってわけ。その逆もしかりだよ。それに、地下室はあれでも活用してるし」
「活用って、なにに使ってるのよ?」
紅玲は質問に答えず、楽しそうに千聖の髪を撫でる。
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