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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
「そうだんだ。じゃあせっかくだし、海外にする?」
「いいけど、人来るかしら?」
「ふたりだけの結婚式にしようよ。綺麗に着飾ったチサちゃんを、誰にも見せたくない」
紅玲は千聖を抱きしめ、触れるだけのキスをした。

「それ、すごく素敵……。あーぁ、優奈に怒られるわ。式に呼んでって言われてたのに」
「オレも、トーマに怒られそー……。人様に心配かけたのにってさ」
ふたりはどちらからともなく笑った。

「じゃあ国内でもやりましょうよ。ドレスもタキシードもレンタルで、格安の結婚式。それで、海の向こうでふたりだけの式を挙げるの」
「珍しいね。チサちゃんがお金を使いたがるなんて。まぁ、それくらいのお金ならあるけど」
「バカね、私も出すわ。紅玲の足元には及ばないだろうけど、ちゃんと貯金あるんだから。私ね、ふたりには感謝してるのよ。優奈がいなければずっとあの田舎町で暮らしてただろうし、斗真がいなかったらあなたのこと、誤解したままだったもの。だからこそ、ふたりには幸せな姿を見せて安心させてあげたいの」
千聖は穏やかに微笑むと、紅玲に寄りかかる。

「チサちゃんは律儀でいい子だねぇ。そういうところ、大好きだよ。いいね、感謝を伝えるための結婚式。さっそく探そうか」
「えぇ」
紅玲は軽快にキーボードを叩き、都内の式場を検索する。ふたりは雑談を交えながら、2つの式場を探すのだった。

2ヶ月後、ふたりは都内で結婚式を挙げた。と言っても、ホテルのスイートルームでだ。
「紅玲さん。あなたは今、千聖さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も、これを愛し敬い、慰め遣え共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
牧師に扮した斗真は、紅玲に問いかける。
「はい、誓います」
シックなブラウンのタキシードを着こなした紅玲は、千聖を見つめながら力強く頷く。
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