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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
「あぁ、紅玲のことだからきっとそうさ。つまり僕のせいではない。第一僕はその場だけだと思っていた」
「まったく、トーマは堅物だなぁ。冗談だって」
「冗談だと分かってても、僕のせいにされるのは心外だ」
紅玲がクスクス笑うと、斗真はふてくされてそっぽを向く。


(マダムキラーのくせに、ホント、変なところで真面目ね)
千聖はふたりのやりとりを見ながら、ホテル街でばったり会った時のことを思い出した。あの時の斗真は眼鏡を外し、紅玲のような服装をしていた。
「そんなにお堅いと、婚期逃すよ?」
「結婚だけが人類の幸せではないって言ってたのは、どこの誰だったか」
ニヤニヤしながら言う紅玲に、斗真は冷たい目を向ける。

「ちょっと、ふたり共……。こんな時に言い合いしなくていいでしょ?」
優奈はむくれながらふたりを見る。
「あぁ、ごめんね? これがオレらのコミュニケーションだからさ」
「こんな日くらい、まともな会話をすべきだろうな」
ふたりは苦笑しながら言う。

(優奈ったら、ずいぶん成長したじゃない)
千聖は感心しながら優奈を見る。少し前の優奈なら、自分で止めようとせずに千聖に助けを求めていた。
「千聖? 私の顔になにかついてる?」
千聖に見られていることに気づいた優奈は、不思議そうに自分の顔を指さす。
「ううん、成長したなって思ったのよ。今までだったらこんなふうに誰かが言い争いしても、止めようとしなかったじゃない?」
「ちゃんと変われてるならよかった」
優奈は照れくさそうに微笑んだ。

「ねぇ、優奈ちゃん。学生時代のチサちゃんって、どんな感じだったの?」
紅玲は好奇心で目を輝かせながら、優奈に聞く。
「歯に衣着せぬ委員長様だったよ。成績は中の上くらいだったけど、しっかり者だし人望あったから、性格悪いガリ勉ちゃんより票集めてクラス委員長だったし、生徒会会長もやってたの」
「へぇ、やっぱり人気者だったんだねぇ。男子にもモテてたんじゃないの?」
紅玲が質問すると、優奈は吹き出す。
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