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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
紙袋を持った斗真が、浴室から出てくる。
「祈祷書もこの中に入っている」
斗真は紙袋を紅玲に差し出す。
「オーケー。落ち着いたら連絡するよ」
「あぁ、分かった。もう妙な嘘をついて花嫁を泣かせないように」
斗真は紅玲の言葉を待たずに、部屋から出ていった。

「あーぁ、釘刺されちゃったよ」
「ねぇ、紅玲。どうして嘘ついてまでふたりを追い出したの? レンタルしたものは明日返す予定なのに」
苦笑しながら言う紅玲に、千聖は首をかしげながら聞いた。
「チサちゃんが可愛すぎるからだよ。1番似合いそうにないドレス選んだのに、似合っちゃってるし……」
紅玲は千聖を抱き上げると、ベッドの上に寝かせる。

「ちょっと紅玲? ……んっ」
紅玲は千聖の唇を塞ぎ、言葉を遮った。
「オレの可愛いチサちゃん。ずっとオレの腕の中に閉じ込めて、誰にも見せたくない、触れさせたくない……」
千聖の頬に手を添え、何かに取り憑かれたかのように、うっとりと彼女を見つめる。

「紅玲……」
千聖の瞳が、不安に揺れる。
「それこそ地下室に閉じ込めたいくらいだけどね、安心して。そんなことしないよ」
紅玲はいつもの余裕ある笑みを浮かべた。

「実は私、仕事を辞めて結婚したら、あの家に閉じ込められると思ってたの」
「へぇ、閉じ込められる覚悟で辞めてくれたんだ?」
「えぇ、そうよ。だから、聞かせてちょうだい。どうして私を閉じ込めるのを、我慢してくれるの?」
紅玲は千聖を抱きしめると、ベッドに横になった。

「我慢、か……。我慢とはちょっと違うかもね。人間刺激がない生活を続けたら、人形みたいになっちゃうから。チサちゃんは言葉が通じないペットでもなければ、お人形さんでもないからね。それに、恋人にしろ夫婦にしろ、お互いを尊重するのは大事でしょ? オレはチサちゃんの意思を尊重したいんだ」
「嬉しいわ、そんなふうに考えてもらえて」
千聖は紅玲の背中に腕を回し、胸板に顔を埋める。
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