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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
紅玲が千聖を連れて来たのは、思い出深いフレンチレストランだ。
「私、あなたと知り合うまではこういう店は自分と無縁だと思っていたの。まさか、こんなに思い出ができるだなんて思ってもみなかったわ」
千聖は愛おしげにメニュー表に触れる。
「オレも。ここにはチサちゃんに会う前から何度も来てるけど、特になにも考えずに来てたから。思い出のレストランがあるって、こんなに嬉しいものなんだね」
紅玲は優しく微笑み、千聖を見つめる。
「初めてここに来たのは、契約の話をした時だったわね」
「あの時はまだ、チサちゃんに嫌われてたっけなぁ」
楽しそうに言う紅玲に、千聖はバツが悪そうな顔をする。
「だって、見た目からして苦手だったんだもの。イマドキの若者って感じで」
千聖の言葉に、紅玲は吹き出す。
「チサちゃんだって、イマドキの若者でしょ」
「そうだけど、若い人独特のノリが苦手なのよ。それに……」
千聖はなにか言いかけて、口を噤んだ。
「それに、なに?」
「なんでもないわ」
「そんなこと言われると、余計気になっちゃうんだけど」
紅玲にじっと見つめられ、千聖は観念したようにため息をつく。
「若い子はセックス下手くそだし、お金ないから嫌いだったの」
千聖が気まずそうに言うと、紅玲は声を出して笑った。
「あっはは、なにそれ」
「あら、怒らないの?」
てっきり嫉妬されたり怒られたりすると思った千聖は、キョトンとする。
「怒るわけないでしょ、オレのことじゃないんだから。いくら金を積もうが過去は変えられないし、なによりチサちゃんは、今オレのことしか考えられないでしょ?」
紅玲は自信たっぷりに言うと、メニュー表を広げた。
「そろそろ注文しよっか」
「そうね、お喋りしすぎたわ」
ふたりは値段が書かれていないメニュー表を見ながら料理決め、注文した。そして思い出話に花を咲かせながら、夕食を楽しんだ。
食事が終わると、ふたりは腕を組んで夜の街を歩く。
「千聖ちゃん?」
柔らかくも芯のある声に振り返ると、高級スーツを着こなした男性が立っている。
「私、あなたと知り合うまではこういう店は自分と無縁だと思っていたの。まさか、こんなに思い出ができるだなんて思ってもみなかったわ」
千聖は愛おしげにメニュー表に触れる。
「オレも。ここにはチサちゃんに会う前から何度も来てるけど、特になにも考えずに来てたから。思い出のレストランがあるって、こんなに嬉しいものなんだね」
紅玲は優しく微笑み、千聖を見つめる。
「初めてここに来たのは、契約の話をした時だったわね」
「あの時はまだ、チサちゃんに嫌われてたっけなぁ」
楽しそうに言う紅玲に、千聖はバツが悪そうな顔をする。
「だって、見た目からして苦手だったんだもの。イマドキの若者って感じで」
千聖の言葉に、紅玲は吹き出す。
「チサちゃんだって、イマドキの若者でしょ」
「そうだけど、若い人独特のノリが苦手なのよ。それに……」
千聖はなにか言いかけて、口を噤んだ。
「それに、なに?」
「なんでもないわ」
「そんなこと言われると、余計気になっちゃうんだけど」
紅玲にじっと見つめられ、千聖は観念したようにため息をつく。
「若い子はセックス下手くそだし、お金ないから嫌いだったの」
千聖が気まずそうに言うと、紅玲は声を出して笑った。
「あっはは、なにそれ」
「あら、怒らないの?」
てっきり嫉妬されたり怒られたりすると思った千聖は、キョトンとする。
「怒るわけないでしょ、オレのことじゃないんだから。いくら金を積もうが過去は変えられないし、なによりチサちゃんは、今オレのことしか考えられないでしょ?」
紅玲は自信たっぷりに言うと、メニュー表を広げた。
「そろそろ注文しよっか」
「そうね、お喋りしすぎたわ」
ふたりは値段が書かれていないメニュー表を見ながら料理決め、注文した。そして思い出話に花を咲かせながら、夕食を楽しんだ。
食事が終わると、ふたりは腕を組んで夜の街を歩く。
「千聖ちゃん?」
柔らかくも芯のある声に振り返ると、高級スーツを着こなした男性が立っている。