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続・独占欲に捕らわれて
第5章 策士愛に溺れる
「あら、ヨシさんじゃない。久しぶりね」
千聖は中年男性に微笑みかける。彼は芹沢義和。紅玲と付き合う前の千聖の“パパ”だ。
「チサちゃん、この人は? 昔の恋人かなぁ?」
紅玲は明るい声で言うが、千聖はその声に違和感を覚える。
(もしかして、嫉妬してくれてる?)
そう思うと嬉しくもあるが、ヒヤッとする。
「はははっ、そうだったらよかったんだけどね。私はみつぐ君ってやつだよ。そういう君は、紅玲くんかな?」
義和はおおらかに笑いながら、紅玲に声をかける。
「そうだよ。チサちゃんから悪口でも聞いてたかな?」
「ちょっと……」
いたたまれなくなった千聖は、紅玲の裾を引っ張る。
「あぁ、最初は本当に嫌ってたみたいだけど、途中からは好きなのに気づいてなかったようだよ。それは恋だって教えても頑なに否定してたんだけど、結ばれたようでなによりだよ」
義和の発言に、千聖は頭を抱える。
「あっはは、予想通り。オレ達、婚約したんだよ」
紅玲は千聖の手を持ち上げ、婚約指輪を見せつける。
「それはおめでとう」
「ありがとう」
「……ありがとう、ヨシさん」
紅玲は張り付いた笑顔で、千聖は困り顔で礼を言うと、義和は笑った。
「さて、私はお暇しよう。紅玲くん、私は今後一切千聖ちゃんに関わる気はないから、安心したまえ」
それじゃあと片手を上げて、義和はその場を去った。
「あー……、生きた心地がしなかった……」
躯の力が抜け、千聖はその場にしゃがみこむ。
「いい人そうだね、あの人」
紅玲は義和が消えた方向を見ながら言う。
「もうこの話はおしまい! 帰りましょ」
「あっはは、そうだね。帰ろっか」
ふたりは腕を組み直して、帰宅した。
千聖は帰って早々風呂を沸かし、紅玲は用事があるからと書斎に篭ってしまった。
「はぁ……まさか紅玲といる時に、ヨシさんと遭遇するなんて……」
先程のことを思い出し、大きなため息をつく。
千聖は中年男性に微笑みかける。彼は芹沢義和。紅玲と付き合う前の千聖の“パパ”だ。
「チサちゃん、この人は? 昔の恋人かなぁ?」
紅玲は明るい声で言うが、千聖はその声に違和感を覚える。
(もしかして、嫉妬してくれてる?)
そう思うと嬉しくもあるが、ヒヤッとする。
「はははっ、そうだったらよかったんだけどね。私はみつぐ君ってやつだよ。そういう君は、紅玲くんかな?」
義和はおおらかに笑いながら、紅玲に声をかける。
「そうだよ。チサちゃんから悪口でも聞いてたかな?」
「ちょっと……」
いたたまれなくなった千聖は、紅玲の裾を引っ張る。
「あぁ、最初は本当に嫌ってたみたいだけど、途中からは好きなのに気づいてなかったようだよ。それは恋だって教えても頑なに否定してたんだけど、結ばれたようでなによりだよ」
義和の発言に、千聖は頭を抱える。
「あっはは、予想通り。オレ達、婚約したんだよ」
紅玲は千聖の手を持ち上げ、婚約指輪を見せつける。
「それはおめでとう」
「ありがとう」
「……ありがとう、ヨシさん」
紅玲は張り付いた笑顔で、千聖は困り顔で礼を言うと、義和は笑った。
「さて、私はお暇しよう。紅玲くん、私は今後一切千聖ちゃんに関わる気はないから、安心したまえ」
それじゃあと片手を上げて、義和はその場を去った。
「あー……、生きた心地がしなかった……」
躯の力が抜け、千聖はその場にしゃがみこむ。
「いい人そうだね、あの人」
紅玲は義和が消えた方向を見ながら言う。
「もうこの話はおしまい! 帰りましょ」
「あっはは、そうだね。帰ろっか」
ふたりは腕を組み直して、帰宅した。
千聖は帰って早々風呂を沸かし、紅玲は用事があるからと書斎に篭ってしまった。
「はぁ……まさか紅玲といる時に、ヨシさんと遭遇するなんて……」
先程のことを思い出し、大きなため息をつく。