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夜明けまでのセレナーデ
第5章 裏窓〜禁じられた恋の唄〜
「暖炉の前にお連れしますよ。
…身体が冷え切ってしまわれている…」
瑞葉を労わるように抱きしめながら、速水は足早に部屋を横切った。
赤々と燃える暖炉の前に、瑞葉をそっと降ろす。
「…頭も雪で濡れてしまわれていますね。
風邪を引いてしまいますよ」
気遣うように言いながら、瑞葉の頭からストールを取り去った。
ストールの下から、蜂蜜色に輝く長く美しい髪がふわりと零れ落ちた。
男が、息を呑んだ。
瑞葉は慌てて貌を背ける。
「み、見ないでください…!」
…決して知られてはならない秘密なのに…!
金の髪に翠の瞳…。
ここにいては、ならない存在の証拠だ。
…しかし、男の唇から漏れたのは、高揚したような声であった。
「…なんと、美しい…!
…ああ…貴方は…昔のままだ…」
聞き咎め、思わず振り返る。
「…え?」
その一瞬を逃さずに、速水は瑞葉の髪に手を伸ばした。
びくりと震える瑞葉に優しく微笑みかける。
「怖がらないでください。貴方の髪に触れるだけです。
…ほかには何もいたしません」
…そして…
「…昔、貴方を一度だけ、拝見したことがあります。
…あの時の貴方も、やはり美しい蜂蜜色の髪で、高価なエメラルドの宝石のようなお眼をしておられました」
…今でも、忘れられません。懐かしい…。
速水の瞳が熱く、瑞葉を見つめた。
…身体が冷え切ってしまわれている…」
瑞葉を労わるように抱きしめながら、速水は足早に部屋を横切った。
赤々と燃える暖炉の前に、瑞葉をそっと降ろす。
「…頭も雪で濡れてしまわれていますね。
風邪を引いてしまいますよ」
気遣うように言いながら、瑞葉の頭からストールを取り去った。
ストールの下から、蜂蜜色に輝く長く美しい髪がふわりと零れ落ちた。
男が、息を呑んだ。
瑞葉は慌てて貌を背ける。
「み、見ないでください…!」
…決して知られてはならない秘密なのに…!
金の髪に翠の瞳…。
ここにいては、ならない存在の証拠だ。
…しかし、男の唇から漏れたのは、高揚したような声であった。
「…なんと、美しい…!
…ああ…貴方は…昔のままだ…」
聞き咎め、思わず振り返る。
「…え?」
その一瞬を逃さずに、速水は瑞葉の髪に手を伸ばした。
びくりと震える瑞葉に優しく微笑みかける。
「怖がらないでください。貴方の髪に触れるだけです。
…ほかには何もいたしません」
…そして…
「…昔、貴方を一度だけ、拝見したことがあります。
…あの時の貴方も、やはり美しい蜂蜜色の髪で、高価なエメラルドの宝石のようなお眼をしておられました」
…今でも、忘れられません。懐かしい…。
速水の瞳が熱く、瑞葉を見つめた。