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夜明けまでのセレナーデ
第1章 屋根裏部屋の約束
「…絢子小母様?…もちろんいいけどさ…」
…絢子は暁人を大変に溺愛している。
絢子が暁人を叱っているのを見たことは一度もないほどだ。
…もっとも、礼儀正しく成績優秀で非の打ち所がない暁人は絢子を怒らせるようなことをする訳がないのだが。

だから、暁人が海軍士官学校に編入試験を受けると言い出した時には、普段の淑やかで優しい絢子からは想像がつかないほどに気色ばみ大反対をした。
「絶対に許しません!
暁人さんに万が一のことがあったら…お母様はどうやって生きて行ったらいいの⁈
お願いだから考え直して…!」
そう言って子どものように泣き崩れたのだそうだ。

その絢子を説得したのは大紋だった。
「絢子。
暁人が決めたことだ。
暁人の意思を尊重し、信じるのも親の役目だ。
暁人を信じよう。
暁人は自分の頭で考えて、大人への一歩を歩き始めているんだ。
親の僕たちが出来ることは、暁人を信じて見守ってやること…そして暁人の為に祈ることなのだよ」
そう言ってくれたそうだ。
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