この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夜明けまでのセレナーデ
第6章 Le Fantôme de l'Opéra
住まいは六区にあるリュクサンブール公園そばのギマール建築の洋館を、速水のフランス人の友人が斡旋してくれた。

元々はかれの友人のジュリアン・ド・ロッシュフォール公爵の持ち家だったそうだが、新しい家に移るために借り手を探していたらしい。
母親が日本人だと言うジュリアンは大変な親日家らしく、二人が家を探していると聞いたら二つ返事で貸してくれたのだ。
…また、二人が恋人同士であることにも、理解を示してくれたのは自由恋愛のパリの土地柄もあるだろうが、ジュリアンのおおらかな人柄によるものらしかった。

速水の友人の引き合わせで会った時、ジュリアンは瑞葉の美貌を見るなり無邪気に眼を輝かせた。
そうして、握手ではなく恭しく瑞葉の手の甲にキスをし、
「…もう少し早く貴方に出会いたかった…。
ムッシュ・ハヤミより先に…ね」
と、艶っぽい目配せをして速水をやきもきさせた。

「…髪を切ってもこれだからな…。
瑞葉、気をつけて。
ロッシュフォール公爵は手が早そうだ」
瑞葉は吹き出した。
「まさか!
…公爵は女性がお好きだと思うよ。
単に社交的なお方なんだろう」

瑞葉の勘は当たった。
ジュリアンは同性愛者ではなかった。
…人目を際立たせる華やかな容姿…常に人の中心にいるような陽気な人気者であり、茶目っ気のある実にチャーミングな人物であった。

かつて日本に数年住んだことがあるジュリアンは、日本語も巧みであった。
また、彼の明るく親切な性格は、初めての異国で新しい生活を始めたばかりの二人にとって、次第に心の拠り所になっていったのだった。




/322ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ