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夜明けまでのセレナーデ
第6章 Le Fantôme de l'Opéra
パリの生活に慣れた頃…。
速水は友人の紹介でソルボンヌ大学の日系人の東洋歴史を研究する教授の助手を務めるようになった。
少年時代からフランス語は習得していた速水は、その老教授の片腕として研究や翻訳の手伝いを始めたのだ。

瑞葉はジュリアンにフランス語を習う傍ら、彼の勧めで美術学校・ボザールへの入学を決めた。
幼い頃から唯一続けていた絵画を、パリに来てからも徒然の折に描いていたのだが、そのスケッチブックをジュリアンに見られたのだ。

「ミズハ…。君の絵は凄くいいよ。
独特の不思議な世界観がある。
ねえ、美術学校で専門的に勉強してみないか?
ボザールの教授に知人がいるから話してみるよ」

そこからはあっという間に話が進んだ。
ボザールはフランスでも有数の美術学校だが、特別枠で入学が許されたのだ。

学校と名のつくものに通うのは初めての瑞葉は大層緊張したが、多国籍の学生たちは大変に友好的で、温かく受け入れてくれた。

金銭的には二人とも不自由はしていなかった。
速水は彼を溺愛する母が、無理やり纏まった金銭を渡した。
「お父様に内緒でいくつか不動産と株券を処分したわ。
いいのよ。どうせ持っていても新しい愛人に使ってしまうだけなんだから」
速水の母はそう言って笑ったそうだ。

…瑞葉の場合は、八雲が残していった瑞葉名義の財産だ。
受け取るの拒んだ瑞葉を説得したのは速水だ。

「瑞葉。受け取らなくては駄目だ。
これは彼の君への最後の愛なのだから」


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