この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夜明けまでのセレナーデ
第8章 新たなる運命
「私の留守をよく守ってくれたね。
ありがとう、薫。
…それから泉。本当にご苦労だった。
この屋敷が消失を免れたのは、お前のお陰だ。
…ああ、梅琳も。
どんなに空襲が怖かっただろうに…。
泉と一緒にこの屋敷をよく守ってくれた。」
重厚な家具に囲まれた居間に、礼也のバリトンが心地よく響く。
深い臙脂色の革のソファにゆったりと腰掛け、礼也は優しく皆を見渡した。
礼也は、使用人をとても大切にし、慰労する。
時には家族より優先して褒め称える。
だから、礼也は使用人たちから絶大な人気と尊敬を集めているのだ。
泉は深々と頭を下げ、梅琳は涙ぐみながら膝を折ってお辞儀をした。
「…そんな…旦那様。
私は何度も旦那様に命を守っていただきました。
ご恩返ししたかったのは、私なのです」
素朴だが理知的な瞳に涙を浮かべる梅琳に、礼也は優しく微笑む。
「ありがとう、梅琳。
…君たちは、私の誇りだよ」

薫は泉と眼を合わせて、微笑む。

…やっぱり父様は世界一の父様だ。
優しくて強くて寛大で…。
日本が戦争に負けても少しも変わらない。
…優雅で洗練された紳士の中の紳士…。

…でも、僕は…きっと永遠に父様みたいにはなれないな…。

申し訳なさに、胸がちくりと痛む。

偉大な父を頼もしく思うとともに、自分の未熟さに少しだけ引け目を感じる薫であった。



/322ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ