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第9章 サンドリヨンとワルツを

その反応に少し驚く。
「ええ…。どうかしましたか？」
「…あの…。
その学校に、成田と言う者はおりませんか？
料理人として雇われていると思うのですが…」

「…成田…」
薫は首を巡らせた。
そうして、すぐに合点が行かせた。
「ああ…。
成田龍介のことかな？
半年ほど前に入った若い料理人ですね。
ええ、寄宿舎と学院の食事を作っています」

薫の返答に、絹はほっと胸を撫で下ろしたように息を吐いた。
「…やはりそうですか…。
良かった…」
「…絹さん？」
怪訝そうに窺う薫を、絹はひたりと見つめ返した。

「お願いがあります。
私を、その学校にお連れいただけませんでしょうか？」
「え？絹さんを？」

絹は頭を下げ、凛とした声で懇願した。
「お願いいたします」