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夜明けまでのセレナーデ
第9章 サンドリヨンとワルツを
庶子とはいえ、陛下の血筋の姫宮とは思えぬあまりにも控えめで生真面目な様子に、さすがの紳一郎も戸惑ったように声を掛けた。
「頭をお上げください。宮様」
ゆっくりと貌を上げた絹を正面から見つめて、紳一郎は小さく息を飲んだ。
…それは、絹の類い稀な美しさに不意を突かれた表情に見えた。
気を取り直しように紳一郎が挨拶をする。
「鷹司です。
お会いできて光栄です。衣都子様」
「絹と呼んでください。
…衣都子はお父様が最近付けてくださった名前です。
まだ、馴染めないのです」
困ったように微笑む…その透明感に溢れた絹の美しさに魅せられたかのように、紳一郎は優しく頷いた。
「畏まりました。
…それでは絹さん。早速ですが、こちらで働いている成田にお会いになられたいとのことですね…?」
「はい。…実は成田さんは…」
…その時、応接室の扉が慌ただしく開かれた。
「絹!絹なのか⁈」
白衣の料理人の制服を身に付けたひとりの若く野性味のある貌立ちをした男が現れた。
若い男を見上げるなり、絹は立ち上がり駆け寄った。
「龍ちゃん!」
「絹!なぜここに⁈探したんだぞ!」
男…成田は感極まったかのように叫ぶと、そのまま絹を強く抱き竦めた。
「頭をお上げください。宮様」
ゆっくりと貌を上げた絹を正面から見つめて、紳一郎は小さく息を飲んだ。
…それは、絹の類い稀な美しさに不意を突かれた表情に見えた。
気を取り直しように紳一郎が挨拶をする。
「鷹司です。
お会いできて光栄です。衣都子様」
「絹と呼んでください。
…衣都子はお父様が最近付けてくださった名前です。
まだ、馴染めないのです」
困ったように微笑む…その透明感に溢れた絹の美しさに魅せられたかのように、紳一郎は優しく頷いた。
「畏まりました。
…それでは絹さん。早速ですが、こちらで働いている成田にお会いになられたいとのことですね…?」
「はい。…実は成田さんは…」
…その時、応接室の扉が慌ただしく開かれた。
「絹!絹なのか⁈」
白衣の料理人の制服を身に付けたひとりの若く野性味のある貌立ちをした男が現れた。
若い男を見上げるなり、絹は立ち上がり駆け寄った。
「龍ちゃん!」
「絹!なぜここに⁈探したんだぞ!」
男…成田は感極まったかのように叫ぶと、そのまま絹を強く抱き竦めた。