この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夜明けまでのセレナーデ
第9章 サンドリヨンとワルツを
「き、絹さん!どうしたんですか?」
紳一郎の口から手を離し、笑顔を繕う。
「…龍ちゃんに会いにきたんです。
お昼休みなら少し話せる…て聞いて…」
おずおずと口を開いた絹は、夏の濃い日差しが差し込む回廊を背景に、まるで一枚の美しい絵画のように存在していた。
…長く美しい髪は綺麗に結い上げられ、ほっそりとした透き通るように白いうなじが眼にも眩しい。
「成田くん?
…ああ、そう…」
なんとなく面白くない思いが薫の心にもやもや立ち込める。
そんな薫の胸中を知ってか知らずか、紳一郎はにこやかな笑顔で絹に笑いかけた。
「絹さん、ご機嫌よう。
さあ、どうぞ。成田くんなら食堂の厨房ですよ。
ご案内しましょう」
絹のやや緊張した貌が、花開いたかのように綻んだ。
「ありがとうございます…!」
何か言いたげな薫に紳一郎はそっと耳打ちをした。
「…暁人を待つと決めたんだろう?
よそ見をするんじゃないよ」
「…紳一郎さん…」
…思いの外、真剣な光を宿した瞳が、そこにはあった。
紳一郎の口から手を離し、笑顔を繕う。
「…龍ちゃんに会いにきたんです。
お昼休みなら少し話せる…て聞いて…」
おずおずと口を開いた絹は、夏の濃い日差しが差し込む回廊を背景に、まるで一枚の美しい絵画のように存在していた。
…長く美しい髪は綺麗に結い上げられ、ほっそりとした透き通るように白いうなじが眼にも眩しい。
「成田くん?
…ああ、そう…」
なんとなく面白くない思いが薫の心にもやもや立ち込める。
そんな薫の胸中を知ってか知らずか、紳一郎はにこやかな笑顔で絹に笑いかけた。
「絹さん、ご機嫌よう。
さあ、どうぞ。成田くんなら食堂の厨房ですよ。
ご案内しましょう」
絹のやや緊張した貌が、花開いたかのように綻んだ。
「ありがとうございます…!」
何か言いたげな薫に紳一郎はそっと耳打ちをした。
「…暁人を待つと決めたんだろう?
よそ見をするんじゃないよ」
「…紳一郎さん…」
…思いの外、真剣な光を宿した瞳が、そこにはあった。