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夜明けまでのセレナーデ
第9章 サンドリヨンとワルツを
本寺院に行ってみると、女手が足りないと言うのは本当だった。
秋口と言うことで、風邪をひいた女衆が多かったのか、厨の仕事は絹のほか数人の女たちで賄った。
精進料理を作るのは本職の職人だが、それ以外の盛り付けや、奥座敷への料理の配膳やお茶を淹れること、お菓子を配ることなども任されてしまったのだ。

「偉い坊さんたちがたくさんいるんでしょ?
あたしら無理だわ。礼儀作法も分からないもの。
お願い。絹さん、行って」
下働きの下女たちは皆尻込みをしてしまったのだ。

襖を取り払った広い奥座敷には護摩焚きと大法要を終えた大僧正を始め、権大僧正など錚々たる僧侶たち数十人が鎮座していた。
彼らの会食の接待のために人目に晒されることは、身が縮むほどに気恥ずかしく…また、養い親である住職に叱責されはしないかとはらはらした。

絹が座敷に現れた瞬間、その場が水を打ったように静まり返り、皆の視線が自分に集まるのが分かった。
養い親の住職は、紫の色衣を身に纏った大僧正に何かを耳打ちされ、恐縮したように頭を下げていたのが見えたのだ。

住職は絹を見ると優しく笑い頷いたので、何も問題なかったかとほっと胸を撫で下ろした。

…よかった…。何も不調法はしなかったのだ。


接待を終えた絹はきちんと三つ指をつき、お辞儀をすると奥座敷を辞したのだった。
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