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夜明けまでのセレナーデ
第2章 礼拝堂の夜想曲
絢子を寝室へ休ませた大紋が居間に戻ってきた。
「すまなかったね。せっかく来てくれたのに、あんなところを薫くんに見せてしまって…」
詫びる大紋に首を振る。
「…いいえ。あの…小母様は…」
遠慮勝ちに尋ねる薫に、大紋はやや苦しげな表情を滲ませながら口を開いた。
「暁人が出征してから、すっかり情緒が不安定になってしまってね…。
何かにつけて涙ぐんだり、ぼんやりしたりと元気がないんだ。
食も細くなってしまって…かなり痩せた」

「…そうですか…」
…繊細で暁人思いの優しい絢子だ。
光とは正反対な性格だ。
それも仕方のないことなのかもしれない。
「小母様は暁人のことを本当に愛していらっしゃるから、無理もありませんよね」

大紋はすっかり冷えてしまったコーヒーを一口飲んだ。
ため息混じりの声が低く漏れる。
「…私のせいなんだよ…。
絢子がこうなってしまったのも…」
大紋の意外な言葉に、薫は長い睫毛を瞬かせた。
「…え?」

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