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夜明けまでのセレナーデ
第9章 サンドリヨンとワルツを
「…なぜ、龍ちゃんにあんなことを…?」
それには答えずに、薫は魅惑的な笑みを浮かべたまま絹をしなやかに引き寄せる。
…爽やかな中に気品のある香水の薫りが漂う。
綺麗な青年は、細部まで綺麗だ…。

「…ねえ、絹さん。
僕はね、貴女にお会いしてから考えることがあるんです。
…恋人に出会ってなかったら、僕はどうしていたのかな…て」
「…薫さん…?」
「…絹さんに最初に会っていたら…僕は多分貴方に恋をしていた…」
琥珀色の瞳が、甘く細められた。
「…薫さん!」
「…貴女は、どうですか?」
「…私…私は…」

…思わずステップを止める。
オーストリア帝国の音楽家の甘い調べ…。
まるで西洋の劇場のようなホール…
…美しい絵画から抜け出てきたような青年からの、愛の告白…。

…こんなこと…
夢の世界だわ…。

…でも…

「…私も…時々考えました…。
…もしも私が最初から、お父様の娘として育てられて…貴方にお会いしたら…」
見上げる先には、まるで耽美的な芸術品のように美しい青年の熱い眼差しがある。

「…私はきっと、貴方に恋をしていました…。
誰よりも美しい貴方に…きっと私は夢中になっていたわ…」
胸が甘く痛く締め付けられながら、笑いかけた。

薫の長い睫毛が瞬かれ、強い力で手を引き寄せられた。
…けれど、その手を絹は押し留める。

「…でも…それは、現実の私ではありません。
私は今、この現実を生きているのです。
…今、私が愛しているのは…」


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