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夜明けまでのセレナーデ
第2章 礼拝堂の夜想曲
「…もう薫くんも大人だ。
打ち明けても構わないだろう」
「…え?」
心臓がばくばくと大きく音を立てる。
…パンドラの匣が開かれようとしているのだろうか…。
「…そうだよ。私の恋人は…暁だったんだ」
薫は言葉を失い、大紋を見上げた。
「…小父様…!」
長い指が優しく薫の頰を撫で上げる。
「…ああ、やはり君は暁によく似ているな…。
少年の頃もそう思ったが、大人になってもとてもよく似ている。
あの頃の暁を見ているようだ。
…懐かしいな…」
今はここにはいない…かつての恋人の面影を辿るような熱を含んだ眼差しと指先…。
「…本当に…?暁叔父様と…?」
「…ああ。そうだ。
絢子と婚約するまで…私たちは愛し合っていた。
男同士だからもちろん結婚はできない。
だが、誰よりも深く激しく愛していた。
ずっと暁とともに死ぬまで生きて行くつもりだった。
誰にも告げずに…密かに…暁と生涯を共にするつもりだった」
普段冷静な大紋の言葉とは思えぬほどに、それは情熱に満ちたものだった。
「…でも…絢子小母様と…」
掠れた声で小さく尋ねる。
「ああ…。すべては私の優柔不断な弱さからだ。
色々な困難が重なり…暁は黙って身を引いた。
そうして、私は絢子を選んだ。
…私はその時、二人を傷つけた。
暁と…絢子と…。二人に不実なことをしてしまったんだ…」
大紋の苦渋に満ちた声が、広い居間に響いた。
打ち明けても構わないだろう」
「…え?」
心臓がばくばくと大きく音を立てる。
…パンドラの匣が開かれようとしているのだろうか…。
「…そうだよ。私の恋人は…暁だったんだ」
薫は言葉を失い、大紋を見上げた。
「…小父様…!」
長い指が優しく薫の頰を撫で上げる。
「…ああ、やはり君は暁によく似ているな…。
少年の頃もそう思ったが、大人になってもとてもよく似ている。
あの頃の暁を見ているようだ。
…懐かしいな…」
今はここにはいない…かつての恋人の面影を辿るような熱を含んだ眼差しと指先…。
「…本当に…?暁叔父様と…?」
「…ああ。そうだ。
絢子と婚約するまで…私たちは愛し合っていた。
男同士だからもちろん結婚はできない。
だが、誰よりも深く激しく愛していた。
ずっと暁とともに死ぬまで生きて行くつもりだった。
誰にも告げずに…密かに…暁と生涯を共にするつもりだった」
普段冷静な大紋の言葉とは思えぬほどに、それは情熱に満ちたものだった。
「…でも…絢子小母様と…」
掠れた声で小さく尋ねる。
「ああ…。すべては私の優柔不断な弱さからだ。
色々な困難が重なり…暁は黙って身を引いた。
そうして、私は絢子を選んだ。
…私はその時、二人を傷つけた。
暁と…絢子と…。二人に不実なことをしてしまったんだ…」
大紋の苦渋に満ちた声が、広い居間に響いた。