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夜明けまでのセレナーデ
第11章 僕の運命のひと 〜人魚姫と王子のお伽話〜
エスメラルダの父…ビセンテ・ジュアン・ガルシアは手の合図ひとつでホセと呼ばれた若い青年を下がらせた。
「…気にするな。
ホセは昔からエスメラルダを王女のように敬い、大切にしているのだ。
…かつてエスメラルダの脚のことを陰で嗤った女中をその場で刺し殺したほどにな」
暁人の背中にぞくりと悪寒が走った。
「…そ、それは…」
ビセンテは屈託無く笑った。
「ホセの片思いだ。
エスメラルダはホセのことを兄のようにしか思ってはいない。
可哀想なホセ。
…しかし、それが恋だ」
ビセンテがゆっくりと暁人の隣に立つ。
二メートル近くある大きな体格のビセンテが近くに来ると、その存在感とオーラに圧倒される。
…そして、海の匂いと…バレンシアオレンジの花の香りにも…。
ビセンテは長い巻き毛を潮風に靡かせながら、水平線の彼方を見つめ、独り言のように呟いた。
「…エスメラルダの母も、俺の片思いだった…」
「…気にするな。
ホセは昔からエスメラルダを王女のように敬い、大切にしているのだ。
…かつてエスメラルダの脚のことを陰で嗤った女中をその場で刺し殺したほどにな」
暁人の背中にぞくりと悪寒が走った。
「…そ、それは…」
ビセンテは屈託無く笑った。
「ホセの片思いだ。
エスメラルダはホセのことを兄のようにしか思ってはいない。
可哀想なホセ。
…しかし、それが恋だ」
ビセンテがゆっくりと暁人の隣に立つ。
二メートル近くある大きな体格のビセンテが近くに来ると、その存在感とオーラに圧倒される。
…そして、海の匂いと…バレンシアオレンジの花の香りにも…。
ビセンテは長い巻き毛を潮風に靡かせながら、水平線の彼方を見つめ、独り言のように呟いた。
「…エスメラルダの母も、俺の片思いだった…」