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夜明けまでのセレナーデ
第11章 僕の運命のひと 〜人魚姫と王子のお伽話〜
「…本当に、いいの?
私と、婚約して…」
大きなエメラルドの瞳が、心細げに揺れていた。
暁人は静かに微笑んで、エスメラルダの髪を優しく撫でる。
「ああ、いいよ。
…僕と一緒になって、エスメラルダが幸せになるなら…。
エスメラルダはとても良い子だ。
僕は君が可愛い。
君を幸せにしたい」
「…アキ…!」
エメラルドの瞳が見る見るうちに潤む。
…結局、記憶は戻ることはなかった。
自分が何者なのかも不明のままだ。
微かに自分を呼ぶ声も、未だに霞の向こう…遥か彼方だ…。
それが誰なのかも、もはや定かではない。
このまま、ここで生きていくよりほかに道がないなら、せめて自分を愛して、必要としてくれるこの健気な少女の人生に寄り添おう…。
暁人はそう思うに至ったのだった。
「…僕は、君を幸せにしたい。
君の幸せが、僕の幸せだ」
自分に言い聞かせるように、エスメラルダに語りかけた。
「…アキ…。でも…」
何か言いたげにその可愛らしい唇が開かれた時…
「…さあ、宴の時間だ。
愛しい我が娘、エスメラルダ。
…そして俺の大切な婿殿…アキ。
広間に向かうぞ」
部屋の扉が押し開かれ、海の王者のような濃い紺碧色の正装に身を包んだ神々しいまでに野生的な存在感を背負った海賊王が、二人を手招きしたのだった。
私と、婚約して…」
大きなエメラルドの瞳が、心細げに揺れていた。
暁人は静かに微笑んで、エスメラルダの髪を優しく撫でる。
「ああ、いいよ。
…僕と一緒になって、エスメラルダが幸せになるなら…。
エスメラルダはとても良い子だ。
僕は君が可愛い。
君を幸せにしたい」
「…アキ…!」
エメラルドの瞳が見る見るうちに潤む。
…結局、記憶は戻ることはなかった。
自分が何者なのかも不明のままだ。
微かに自分を呼ぶ声も、未だに霞の向こう…遥か彼方だ…。
それが誰なのかも、もはや定かではない。
このまま、ここで生きていくよりほかに道がないなら、せめて自分を愛して、必要としてくれるこの健気な少女の人生に寄り添おう…。
暁人はそう思うに至ったのだった。
「…僕は、君を幸せにしたい。
君の幸せが、僕の幸せだ」
自分に言い聞かせるように、エスメラルダに語りかけた。
「…アキ…。でも…」
何か言いたげにその可愛らしい唇が開かれた時…
「…さあ、宴の時間だ。
愛しい我が娘、エスメラルダ。
…そして俺の大切な婿殿…アキ。
広間に向かうぞ」
部屋の扉が押し開かれ、海の王者のような濃い紺碧色の正装に身を包んだ神々しいまでに野生的な存在感を背負った海賊王が、二人を手招きしたのだった。