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夜明けまでのセレナーデ
第11章 僕の運命のひと 〜人魚姫と王子のお伽話〜
エスメラルダがビセンテの手を振りほどき、暁人に駆け寄る。
城壁外に身を落としかけている暁人を引き摺り戻し、抱きつくと、ホセを睨みつけた。
「手を離しなさい、ホセ!
さもないと、貴方を殺すわ!」

ホセの雄々しい貌が気弱に歪んだ。
「エスメラルダ様…しかし…!」

エスメラルダは暁人を抱きしめたまま、ホセに…父親に…居並ぶすべての人々に言い放った。

「アキを殺すことは私が許さないわ…!
アキは私が助けたの。だからアキの命は私のもの…。
…そうよね?アキ」
エスメラルダの愛らしい瞳が、涙に光る。

暁人は息を整えながら、微笑んだ。
「…ああ、そうだよ。エスメラルダ。
僕の命は君のものだ。
…君が好きなように、してくれ…」
…エスメラルダに…この可愛らしい純粋な少女になら、命を絶たれてもいい…。
優しい彼女を傷つけたのは、自分なのだ…。

「…じゃあ、最後にキスして…アキ…」
長い睫毛に、水晶のような涙が絡む。
…濡れたエメラルドの瞳は、この世のどの宝石よりも美しく煌めいている。
可憐な唇が、震えていた。

暁人は優しく微笑み、そっと愛だけが詰まった口づけを与えた。

「…ごめんね、エスメラルダ。
もし、もうひとり僕がいたら、きっと君を愛したよ…」
…僕の可愛い人魚姫…。
僕に奇跡の生命を与えてくれた…。

エスメラルダは、出会った頃のように無邪気に笑った。
大粒の美しい涙を流しながら…。

「…充分だわ…アキ…」

…そうして、しなやかに立ち上がると、凛とした…海賊王の娘と呼ばれるのに相応しい尊い威厳と強い意志に満ちた声で、宣言した。

「アキを今、この瞬間から解放します。
今後、アキに手出しをしたら…傷ひとつ付けても私が許さない。
…それがたとえパパであっても…!」




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