この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夜明けまでのセレナーデ
第2章 礼拝堂の夜想曲
「…馬鹿…こんなキザなこと書きやがって…。
検閲されるのに…どうするんだよ…」
薫はぽろぽろと涙を零す。
傍らのカイザーが心配そうに薫の頰を舐めた。
軍から出した手紙は全て検閲される。
おまけに暁人は少尉だから、手紙の内容も自制しなくてはならない。
万が一、軍規に触れるようなことがあったらおおごとになる。
任務の内容や戦況などもちろん報せることは禁じられている。
…過酷な戦いや厳しい訓練の様子など匂わすこともない。
だから暁人は、薫を安心させるように、楽しく美しい言葉だけを記すのだ。
薫への誠実な愛を散りばめて…。
…その裏にあるだろう非情な現実を…薫に見せまいとするかのように…。
暁人は、どんな状況でも薫に果てしなく優しいのだ。
薫は暁人の手紙を、抱きしめながら泣きじゃくる。
…暁人…。
早く…早く帰ってこい…!
鼻を鳴らしながらカイザーが薫に擦り寄る。
カイザーを抱き寄せながら、薫は涙を止めることができなかった。
検閲されるのに…どうするんだよ…」
薫はぽろぽろと涙を零す。
傍らのカイザーが心配そうに薫の頰を舐めた。
軍から出した手紙は全て検閲される。
おまけに暁人は少尉だから、手紙の内容も自制しなくてはならない。
万が一、軍規に触れるようなことがあったらおおごとになる。
任務の内容や戦況などもちろん報せることは禁じられている。
…過酷な戦いや厳しい訓練の様子など匂わすこともない。
だから暁人は、薫を安心させるように、楽しく美しい言葉だけを記すのだ。
薫への誠実な愛を散りばめて…。
…その裏にあるだろう非情な現実を…薫に見せまいとするかのように…。
暁人は、どんな状況でも薫に果てしなく優しいのだ。
薫は暁人の手紙を、抱きしめながら泣きじゃくる。
…暁人…。
早く…早く帰ってこい…!
鼻を鳴らしながらカイザーが薫に擦り寄る。
カイザーを抱き寄せながら、薫は涙を止めることができなかった。