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夜明けまでのセレナーデ
第2章 礼拝堂の夜想曲
…すべての寄宿舎の生徒の紹介が終わり、学院の本館に戻るかと思われた紳一郎の足が不意に止まった。

「…あの…?」
不思議そうに見上げる薫の腕を紳一郎が掴んだ。
ひんやりと冷たい手…。
そのまま引き寄せられ、耳元で囁かれる。
「…秘密を守れるか?薫」
「…秘密?」
紳一郎の切れ長な瞳が真っ直ぐに薫を射抜く。
「…これから見るものは、僕とお前だけの秘密だ。
他言しないと誓ってくれ」
訳が分からないが薫は素早く頷いた。
紳一郎の眼差しから、尋常ではない非常に重要な色を感じ取れたからだ。

「…ついておいで。こちらだ」
紳一郎が寄宿舎の奥…礼拝堂の方向へと真っ直ぐに歩き始めた。
薫は慌ててそのあとを追った。
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